岡崎さんのウェールズ滞在日記16

岡崎さんのウェールズ滞在日記16


16.コンプリ時代の記念写真から

 息子がフッと笑うので、コンピューターをのぞくと、息子がポースコールコンプリヘンシブスクールの一年生になった時に学校で撮影された個人写真を見ていました。
 中学一年生といっても、11歳の幼い顔。でもこの頃、わたしはすでに息子を大きいと思い、大人扱いして随分厳しくしていました。思わず、「小さかったんだね、ごめんね、ずいぶん厳しいこと言ってたよね。」と息子に言うと、「そうだよ、マレーシアの頃から厳しかったよ」と言われました。ついつい下の子がいると、上の子は大きい、と思ってしまいがちですが、そうではないですよね。もっと甘えさせてあげればよかった、と今更ながら思いますが、もう今月二十歳になるので、時遅しで仕方ありませんね。とりあえず謝っておきました。

 先日の成人の日には双方の祖父母を招待して食事会をしたのですが、最後に息子から祖父母、親、妹への感謝の言葉があり、ホロッとしました。親は、試行錯誤しながら20年間育ててきましたが、無事に成人の日を迎えられることができ、いままで多くの方に出会い、関わっていただけたお陰と本当に感謝の念で一杯になりました。今後の豊富を聞かれた息子は、いろいろあるけれど、躊躇せずに前へ進むこと、と答えていたので、これからは口数より見守りでいきたいと思っています。

 さて、イギリスの学校では、集合写真だけではなく、個人の記念写真も学校で撮影されていました。セントクレアで撮った写真は、Year4だった息子とYear2だった娘の二人で一緒に撮影されていました。なんとも二人とも引きつった笑顔で。こどもたちによると、まさか兄妹で撮るとは思わず、しかも、仲良くくっついて、などという柄ではないので、写真屋さんの注文に対しそういう引きつった顔になってしまったようです。セントクレアの集合写真は、全校生徒が入った記念の一枚で、我が家のリビングに飾ってあり、シスターアンジェラに見守られているような?安心感があります。他の学校でも集合写真は撮っていますが、残念ながら我が家に飾れるスペースはなく、しまってあります。

 息子はセントクレアで楽しい小学校生活を送っていたのですが、シニアにあがる頃、「普通のイギリス人をみてみたい。大きい学校で自分を試してみたい。」と言い出しました。“普通のイギリス人”というのは、セントクレアに通っている子は恵まれた家庭環境にいて特別だと思うから、一般的な家庭の子という意味でした。確かに、セントクレアに通う多くの子は経済的に恵まれているようでしたし、先生の目が行き届く小規模な学校でした。いろいろ悩みましたが、本人の意思を尊重して、公立のポースコールコンプリヘンシブスクールに進学することに決めました。セントクレアでは、一学年の人数は、30人程度でした。それにひきかえポースコールコンプは、一学年200人位いました。全校生徒は約1500人。入学してからは、本人も驚きの連続の日々だったようです。まず、1500人いる生徒の中で日本人は一人、しかもあまり皆、日本人を見たことがないらしく、なぜか、日本人は空手ができジャッキーチェーンのように強い、と勘違いされていたり、、、学年問わず、とにかくどこにいても、注目されてしまったようです。そして、本当に様々な子がいるのだとわかったようです。セントクレアでは考えられないような度を過ぎた悪戯も多々あったようで、たとえば、プールの授業中にプールに鏡を投げ入れて割った子がいて、その後プールが使用禁止になったこともあります。そうそう、ウェールズ語が必修で、苦労したりもしましたね。でも学校の音楽コンクールがありポースコールのパビリオンのステージでヴァイオリンをソロで弾かせていただいて大勢を前にスポットライトを浴びることができたのは大きい学校に入ったお陰でしょう。

 様々なことがあった中、寝袋を持って遊びに行けるような友人にも恵まれました。友人宅に泊まらせてもらっていろいろなことを知ったようです。お母さんは早くに仕事に行くから、朝食は自分で用意して食べ、決まった場所に食器を片付ける友人の姿などに刺激を受けたりもしていました。家庭環境が複雑で悩みを抱える友人もいたようですが、それでも、全く擦れずに育っている様子に息子が感心していたのを今でも覚えています。子供でも、生活していく上で自分がやるべきことをしっかり教育されて理解していたのでしょうね。

 息子が願っていたように、一般的なイギリス人の子の生活を知り、大勢の中でもまれたYear7でした。フランス語の授業中、一部の子の不真面目な態度に業を煮やした先生が、クラス全員に罰を与えると言った際、息子はあまりに理不尽だと友人と話し、全員が罰を受けるのは納得できないと先生に抗議をして、結果先生がその罰を撤回してくれたことがあったようです(友人は「本当に言ったよ、、」と呆れていたらしいですが)。この一年の間に、自分の意思を伝えることによって自分の状況を変えようと考える、変えていかれる経験もしていったことは、その後の息子の生き方に大きな影響を与えていると思います。全てを親に話しているわけではないからね、と息子には釘を刺されていますが兎にも角にも濃い一年間だったようです。(2012年1月)

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