岡崎さんのウェールズ滞在日記21

岡崎さんのウェールズ滞在日記21

21. 息子の故郷

今年の2月まで、卒論を仕上げるためにかなり忙しかった息子が、自由な時間ができた3月に一人旅に出かけました。息子の初めての一人旅は、大学に入った年の夏に、興味のある研究室の教授に会うことを主目的に北欧に行ったときでした。

寝袋も入れた大きなザックを背負う姿、そしてザックリとした計画、送り出すほうがドキドキしました。ただ計画性のない分、多くのことを経験できた旅だったようです。

そして今回は、前回印象に残ったところの冬の姿を見たいとのことでした。北欧の冬ですから、特別な準備も警戒もしていない彼をみていて、母であるわたしは反対したのですが、彼は行きました。そして、わかったらしいです、とんでもなく寒い、と。そうなのです、何でも、経験してみないと納得できないのですね。

そして今回は、イギリス、ウェールズにも行って、先生方にもお会いしてくる、とのことでした。行くと決めてから2週間後くらいに、出かけていったのですが、目的を達成する手順を押さえているものだと感心はしました。まず、この滞在日記にもよく登場する旧知のジャネットさんへ、Walesに行こうと思うのだが会えるといいな、とe-mail。30分後には、好きなだけ泊まっていいから、と嬉しいお返事をいただき、飛行機の予約。補習校の田口先生に連絡をして、補習校に訪問できる日を確認、England時代の友人にe-mailをすると、ロンドンでの予定を細かく計画してくれて、、のように、あっという間に、皆さんのお陰で準備が進んだようです。

まず、冬のノルウェー、しぶしぶ持っていった厚いコートが役に立ったのはもちろん、観光客は大変少なく、バスは目的地の一つ手前で下ろされ、雨降り風の強い中歩くのは、一つ間違えれば崖を落ちるようなところ、、など"夏の旅"とは異なることを体感できたようです。

そして、イギリス、ウェールズへ。ここでの数日間は、旅、というより特別な滞在だったようです。7年ぶりにお会いした小学生の頃お世話になっていた方々、Walesの風景。どちらも、最後に会ってから7年経つのに、変わることなく受け入れてもらえた、ということが、他の土地への旅とは異なるものにしてくれるのでしょう。

Janetさん宅につくと、Alexの部屋に案内され、そこを使わせていただいたらしいです。Alexは、JanetとVassilisの最愛の息子さんですが、10年前に事故でなくなっています。部屋に着くと、これはYoheiに持っていて欲しい、とAlexのあざらしのぬいぐるみを渡されたそうです。そして今、彼は我が家のリビングの一員になっています。さて、帰国した息子に「お母さんは、Alexのお墓に行ったことある?」と質問され「いいえ」と答えると、「そうだよね、だって、お墓にいないから。Janetさんの部屋にいたから」とのこと。つまり、Janetさんたちは遺骨をお墓に入れずに傍においておく選択をしているのです。息子はお花を買ってきて、そっと置いたそうです。

ところで、Janetのご主人のVassilisのお料理は相変わらずとってもおいしかったとのこと、そして、Janetのお母さんも変わらず頭脳明晰で、Classic FMを聴いていて、音楽の話で一緒に会話を楽しんだり、第一次世界大戦前からのピアノを弾かせてもらって柔らかい音色を愉しんだり、良い時間を過ごさせていただいたようです。そして、息子は帰国後横目で私をみていいました。「JanetさんとVassilisの会話は、ひとつのことを多方面からみながら意見を交わしていて、内容も深く、インテリジェンスで実におもしろかったよ。」と。家では経験できない貴重なホームステイでよかったです~♪

かつての校長先生のSister
Angelaにもお会いし、Margaretさん宅にも行って写真を撮り、体調がよくないOakley先生ともお目にかかってお話を少しでもできたりし、心なごむ時間がたくさん持てたようです。かつての小学校の友人とパブで待ち合わせしたところ、身長が2mを越える大きさになっていて驚愕したらしいですが、中身は全く変わっていなかった、と安心していました。

そして、Wales滞在最終日は、補習校へ訪問させていただいたそうです。学年末のお忙しい中、田口先生には、細かく配慮をいただいたと、語っていました。また、懐かしい先生はもちろんですが、お目にかかったことのない先生方にも声をかけていただけて、大変嬉しかったようです。最後は、バス停まで初めてお目にかかった先生に送っていただいたそうで、何から何まで、補習校の変わらぬ温かいぬくもりに感謝です。補習校では、在校生に自分の体験をお話しする機会も与えていただいて、自分の体験が少しでも役に立つならばと喜んでいました。また休み時間に、こどもたちのサッカーに一緒に入れてもらったものの、若さ(元気さ)にかなわなかった、年齢を感じたとのことです。きっと誰にとっても、また寄れる場所、想い出のつまっている場所、そのような母校があることは、大変心強いですし、ありがたいものですね。現在在校生の人数も少なく、補習校の運営には、たくさんの力が必要で大変なことも多いかとは思いますが、実は心の支えにしている人も少なくないですし、応援しておりますので、頑張ってください。

ウェールズを後にしてのロンドン滞在中には、補習校時代の同級生で、医学部で頑張っている土山君にも会えたそうです。また計画性のある友人のおかげで、友人の大学の授業にも参加させてもらえたそうで、息子は日本とは全く異なる環境を見聞きして刺激を受け、考えさせられることも多かったようです。

息子の話をきいていて、ウェールズは、いわば、息子の故郷、なのでしょう。いつでも受け入れてもらえる場所、というのでしょうか。幼少期より引越しばかりで、"地元"というものがありませんので、ウェールズには、今後ともどうぞ、故郷であり続けていただければ何よりです。

(2014年6月)

 

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