第13回「英国ナショナル・トラストを学ぶ」 

「ナショナル・トラスト」とは美しい自然や貴重な歴史的建造物を市民の寄付や寄贈によって取得し、保存、管理、公開することを目的とした環境保護運動です。世界中で愛されている「ピーターラビット」の物語の舞台として有名な湖水地方も、そのほとんどが英国ナショナル・トラストの手によって、百年前と同じ姿を今にとどめています。

日本では「トトロの森」の舞台となった埼玉県の狭山丘陵など、50カ所以上の地域でナショナル・トラスト運動が行われていますが、その存在を知る人が少ないのも事実です。

 そのナショナル・トラスト発祥の地である英国をベースに、お遍路さんのようにその地を訪ね描き、また自らの作品を持って巡回展を開いている日本人アーティストがいます。

「<そこにあるはずの自然>を<そこにあったはずの自然>にしたくない。」   「日本に残る美しい自然を、次世代の子どもたちに残したい。」そんな思いを作品に込めて、美しい自然とそこに安らぐ人々を描き続けている小野琢正です。

日本の「残してゆきたい自然」をテーマに制作活動を続けてきた彼は、ナショナル・トラストと出会い、その運動の主旨に共感を得て以来、この運動の素晴らしさを少しでも多くの人々に知ってほしいと、ナショナル・トラスト運動の、いわば先進国である英国に渡りました。その保存地を描き、作品を通じ、まだナショナル・トラストの存在を知らない日本の人々に、その名を知ってもらえるだけでも大きな意味があると感じたからです。

英国ナショナル・トラストを描いた水彩画や版画、墨絵作品は、日本各地での展覧会と同時に、地下鉄のパスネット・カードやトヨタ自動車本社のカレンダーとなりました。そして2001年、日本人として初めて、英国ナショナル・トラストで巡回個展を開くことになったのです。

その「HENRO(遍路)展」も、今年で10年目を迎えました。展覧会では「草の根」レベルの国際交流として、地元の子供たちを対象とした墨絵ワークショップもボランティアベースで行っています。そして、それらの活動をさらに日本へ向けて発信してゆくことで、当初の目的もほんの少しずつですが、実現しつつあります。

百年の歳月を経た英国での環境保護運動の姿を紹介することは、今後日本の環境問題を考える時、必ず役に立つことと信じています。なぜなら、英国ではその環境の守り手となっている市民の数は国民の16人にひとり、現在350万人以上にもなっているのです。決して堅苦しく考えず、英国の人々のように楽しむように、環境を護っていく。この大いなる目標に向かって、きょうも遍路の旅は続いています。

HENRO 2010 An exhibition by TAKUMASA ONOInspired by National Trust Properties

スケジュール

430日(金)- 518日(火)Ickworth House (Suffolk)
528日(金)- 613日(日)Dinefwr Park and Castle (Carmarthenshire, Wales)
623日(水)- 711日(日)Hanbury Hall (Worcestershire)
723日(木)- 86日(金)Speke Hall (Liverpool)
818日(水)- 95日(日)Baddesley Clinton (Warwickshire)
918日(水)- 926日(日)Wightwick Manor (West Midlands)

各会場の詳細は 英国ナショナル・トラスト www.nationaltrust.org.uk

小野たくまさ オフィシャルホームページ 
http://www.asahi-net.or.jp/~hh5y-szk/ono/ono0.htm

英語版 www.takumasa-ono.com

5月末から開催されるウェールズでのHENRO展ポスター

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