第 15回 Llanthony Prioryに行こう!(修道院/遺跡/カーディフから車で約1時間)

Llanthony Priory に行こう!

Llanthony Priory1ウェールズには古城や修道院跡といった廃墟が,周囲の雄大な自然とあいまってロマンチックな景観をなしている場所が多くありますが,今回ご紹介するのもそのような廃墟のひとつ。Brecon Beacons(ブレコン・ビーコンズ)国立公園内のBlack Mountainsと呼ばれる丘陵の東側,Ewyas(エウィアス Ewiasと書く本も)の谷にひっそりと建つLlanthony Priory(スランソニー・プライオリー,英語的に発音するとランソニー・プライオリー)です。イギリスが生んだ偉大な画家 J.M.W. Turner(1775-1851)は,1792〜1799年の7年間に,5回ウェールズにスケッチ旅行に訪れていますが,その最初の旅行で彼はここやTintern Abbey(Short Trip 第1回で紹介),Chepstow Castle等を訪れて,美しい水彩画を残しています。Prioryとは小修道院を指す言葉で,同じ修道院跡でもTintern Abbeyと比べると規模も小さく,残っている部分も少ない為,建物として見る部分は少ないものの,では何が良いのかというと周囲の景色が素晴らしいのです。緑の丘陵に囲まれ,馬がのどかに草を食み,廃墟がひっそりと人目をさけるように建っているその姿は,さすがTurnerの眼鏡にかなう場所だとうなづけます。そしてA465という道から分かれてこの場所に来るまでの景色がまた変化があって大変面白い。Brecon Beaconsの魅力の一端を堪能できます。

Llanthony Priory2伝説によると1100年頃,ノルマンの騎士William de Lacyがこの辺りに狩りに来た際,聖デビッド(ウェールズの聖人)を祀る小さな礼拝堂で休んでいる間に神秘的な体験をし,その後すべてを捨てて隠遁者としてここで宗教的な生活をはじめたことが発端とされています。洗礼者ヨハネを祀るアウグスティノ派の修道院が建てられたのは1118年頃で,Williamの主人Hugh de Lacyやイングランド王Henry 1世(1100〜1135)の庇護も受けて信徒が集まりますが,王の死後ウェールズでノルマンの征服に対する反乱が勃発,信徒達はGloucester近くまで逃げ(彼らがその時に拠点とした場所が,現在Llanthony Secunda PrioryとしてGloucesterにあります),初期の修道院は徹底的に破壊されます。現在残る建物は12世紀末から13世紀初頭にかけて建てられたもの。その後も15世紀のOwain Glyn Dwr(オワイン・グリン・ドゥール)の反乱やHenry 8世(1509〜1547)による修道院解体の憂き目に会い,次第に打ち捨てられていきます。多くの持ち主を経て,現在はCADWの保護下に置かれています。
Llanthony Priory3

カーディフからだと車で1時間15分くらいでしょうか。車がないと大変不便ですが,2006年は5月28日〜9月10日までの日曜やバンク・ホリデーにHay-on-WyeからLlanthony Prioryを通るバスが出ます。現地にはCADWのオフィスはありませんが,無料の駐車場やトイレはあり,入場無料で自由に見てまわれます。建物の一部はホテルとして使われているようです。ここを通るFootpathもあるようですので,脚に自信のある方は,トレッキングを楽しむこともできます。詳しくは下記をご覧下さい。

CADW:  http://www.cadw.wales.gov.uk/
(SearchでLlanthony Prioryと入力すると該当ページを探せます。)

Brecon Beacons National Park:  http://www.breconbeacons.org/
(SearchでLlanthony Prioryと入力するとBrecon Busなどのページを探せます。)

(狩野 記)

 

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