第27回 Carew Castleに行こう!(お城/水辺/カーディフから車で2時間)

Carew Castle に行こう!

The Carew Cross今回ご紹介するのはPembrokeshire Coastal National ParkにあるCarew Castle(ケアルー・キャッスル)です。これまでもTintern AbbeyやCarreg Cennenなどロマンチックな廃墟を紹介してきましたが,このCarew CastleはCarew River沿いに建ち,水辺から望む古城の風情はまた格別で,18,19世紀のロマン主義の時代には様々な画家によってこの城の絵が描かれました。以前にふれたJMW Turener(1775-1851)も1795年のスケッチ旅行でここを訪れており,作品としては1832年頃に描かれたものが残っています。付近にはウェールズ唯一の(イギリスでも4つを残すのみ)潮の干満を利用した水車小屋(Tidal Mill)や,11世紀につくられたThe Carew Crossと呼ばれるケルトの十字架(写真左)があります。また周辺の野生動物にとっても重要な場所となっているおり,特にこうもりは,希少なHorseshoe batを含む多様な種類が(イギリスで見つかる種の半分以上)壁の隙間や穴,煙突の跡などをねぐらにしていて,国際的にも注目されているようです。

Carew Castle West Range RangeCarew Castleには,これまでの発掘により鉄器時代から人が住みついていたことが分かっており,ローマ人が駐屯していた証となる装飾品や陶器類もでてきています。その後もケルト王国の重要な場所として(前述のCarew Crossは1030年代にケルト王国の共同統治者だったMareduddという人の記念碑であることが碑文から分かっており,そのことからCarew Castleが王の居城ではないかと言われています),ケルトの人々が住み続けていました。11世紀末にノルマン人がウェールズへやってくると城の持ち主はイングランド王Henry1世からこの地を任されたGerald de Windsorという人物になり,現存するOld Towerを含む城が建設されました。Geraldの息子のWilliamと孫のOdoの時代に一族はde Carewの姓を名乗るようになります。13世紀後半から14世紀にかけて当時の当主Sir Nicholas de Carewとその息子Johnによって大改修を行っており,
Carew Castle North Range城の北面を除いて現存する城の骨格はこの時につくられたものです。その後15世紀のバラ戦争で権力を得たRhys ap Thomasという人物がCarewの当主となり,城をその時代にあったものに作り変えました。Rysの死後,孫のRhys ap Gruffudが城を引き継ぎましたが,Henry 8世から反逆の罪を問われ,城は没収。Henry8世の私生児であったSir John Perrotが当主となり,現在の北面部分にエリザベス様式の邸宅を建てました。窓の形がここだけ仕切り窓で大きく,瀟洒な印象なのはそのためです。当時贅を尽くした生活が繰り広げられていたのでしょうが,今ではそれを偲ぶ よすがもありません。Perrotの死後,もともとの所有者であったCarew一族が所有権を主張,James1世の頃になって,ようやく認められますが,17世紀中盤から勃発した市民戦争に巻き込まれて城は荒廃,Carew一族もSomersetのCrowcombeへ移り住み,城は廃墟と化し,その後ロマン派の芸術家を惹きつける存在となりました。城の所有権は現在もCarew一族にあり,当主は今もCrowcombeに住んでいますが,実際の管理は国立公園とウェールズの歴史的な建造物を保全する団体であるCADWが行っています。

Tidal Millカーディフからだと車で2時間弱でしょうか。車がない場合でもPembroke DockもしくはTenbyから361というバスがでています。城には食事のできる場所はありませんが,川をはさんでピクニックエリアがあります。11月(2007年は11月4日)から3月末まではTidal Mill(写真右)はクローズとなり,城も平日のみで開いている時間も短くなるので,冬季に訪れる場合は注意が必要です。

Carew Castle & Tidal Mill: http://www.carewcastle.com/

Traveline : http://www.traveline-cymru.org.uk/
(バス・電車の時刻は上記で検索できます。)

(狩野 記)

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