第28回 Gwyneddの4つの城に行こう!(お城/北ウェールズ/カーディフから車で3-4時間)

Gwyneddの4つの城に行こう!

Meni Bridge(Menai Strait)さて筆者にとっては最後の記事となる今回は,ちょっと遠出をして北ウェールズにあるGwynedd(グウィネズ)の4つの城をご紹介しましょう。Caernarfon(カエルナルヴォン), Conwy(コンウィ), Harlech(ハルレッフ), Beaumaris(ボーマリス)の4つの城は現在CADWによって管理されており,世界遺産にも登録されています。これらの城はイングランド王エドワード1世が北ウェールズ遠征の際,イングランド軍の拠点として建てられたもので,同時期に建てられた他の城と合わせてIron Ring(鉄の円環)と呼ばれています。Beaumarisを除いて1283年に建設がはじまっています(Beaumarisは1295年に着工)。Master James of St George(聖ジョージのジェームス親方とでも訳すべきか!?)というSavoy地方(イタリア・フランスの国境近くの地域) 出身の建築家によって当時最高の技術を用いて建てられました。当時は船で物資を運ぶのが常であったことからすべて海沿いに建てられており,水辺を含む城の遠景は大変美しいものです。

Caernarfon CastleCaernarfon Castleは,上記の読み方の他にカーナーヴォンやカーナヴォン,カナーヴォンなどの読み方で読まれています。メナイ海峡(写真右上)とSeiont(サイオントもしくはセイオント)川の監視を行うために建てられました。1283年に着工され,1330年代には現在のような姿となったようですが,完成はされませんでした。多角形の塔が特徴的なこの城は他の3つの城とは異なり,幾分優美な感じがします。それもそのはずで,この城は要塞というよりもむしろ王宮として建てられました。Edward1世の息子,後のEdward2世は1284年にこの城で生まれています。皇太子をPrince of Walesと呼ぶことはよく知られていますが,その起源は1301年にウェールズの征服を完了したEdward1世が後継者である息子にPrince of Walesの称号を与えたことにあります。その後も15世紀初めにOwain Glyn Dŵr の反乱軍に包囲されたり,17世紀の清教徒革命の内戦の時には王党派の拠点となるなど,歴史の荒波をくぐりぬけてきました。1969年にはチャールズ王子のPrince of Wales就任の儀式がここで行われ,世界的に報じられました。その時の映像を城の一角で見ることができます。ウェールズ連隊の軍服を展示した博物館も併設されています。公共の交通機関としてはCardiffからBangorまでは電車,Bangorからバスが出ています。

Conwy CastleConwy Castleは以前Conwayとつづられていたこともあり,本によってはコンウェイを表記しているところもあります。Conwy川の監視を行うために1283~1289年の間に建てられました。前述のCaernarfon Castleと違って,高い城壁,どっしりした円筒形の塔など「要塞」という言葉がぴったりくる厳しい外観を持ち,狭く急な階段を登った先には素晴らしい景観が待っています。16世紀初めには既に荒廃していましたが,その後の内戦で荒廃に拍車がかかりました。城の横にかかる Conwy Suspension Bridgeは19世紀に造られたもので現在はNational Trustが管理しています。Conwyの街には古い城壁もよく保存されており,かつての雰囲気を今に伝えています。 小さい街ながら,見どころは多く,14世紀の商家が保存されているAberconwy House(NT管理)や16世紀後半に建てられたエリザベス様式の商家Plas Mawr(CADW管理) など歴史的な建物を見ることができます。公共の交通機関としては本数はすくないもののCardiffからConwyまで電車が,バスはLlandudnoやBangor, Caernarfon等からでています。

Harlech CastleHarlech Castleはハーレフやハーレックとも表記されます。4つの城の建設を指揮をとったMaster James of St GeorgeはEdward 1世から1290~1293年の3年間この城の城守として任ぜられました。海沿いの崖の中腹にあり,遠くからでもよく見えます。車が近づくにつれその威容が迫ってくるように感じられたのを覚えています。Conwy Castleと同じく1283~1289の7年間をかけて建てられました。崖という立地条件を最大限に生かした設計になっており,敵に攻められる可能性のある城の東には堂々たる城門がそびえています。1404~1408年の4年間Owain Glyn Dŵr率いる反乱軍により占拠され,彼らの本拠地となりました。海から崖を通じて食料を補給することが可能だったことから持久戦には強い城で,15世紀のバラ戦争の際にはランカスター派の最後の砦として7年間の包囲を戦い抜きました。ウェールズでよく演奏される曲に“Men of Harlech”というとても勇ましい曲があるのですが,この曲はその時のことを歌ったものと言われます。公共の交通機関としてはCardiffからShrewsbury, Machynlleth経由でHarlechまで電車がでています。バスは乗換えは多くなりますが,城の近くまで行く路線はあります。

Beaumaris CastleBeaumarisはビューマリスと表記されている場合もあります。ウェールズ語というよりはノルマン(フランス語)の名前という感じがする名前でbeau(美しい), marais(湿地)という意味のようです。1295年と他の3つの城に比べて遅くに着工し,最後にして最大の城となるはずでしたが,資金が続かないなどの理由で完成をみることはありませんでした。技術的には完璧に近いといわれる設計で,左右対称で同心円状の二重構造を持ちます。城壁の外には堀がめぐらされ,現在では白鳥が優雅な姿で泳ぎ,要塞にしては均整のとれた落ち着いた印象を見る人に与えます。ここは海辺の平坦な土地に建てられたことから,Harlechのように周囲の地形によって強固に守られているわけでもなく,この城には敵を防ぐため,矢を放つための穴や敵に煮え湯を浴びせる穴など,14もの工夫がなされています。他の城とは違い,17世紀清教徒革命の内戦時にも占拠や略奪の対象とはならなかった為,非常に良い保存の状態を維持しています。公共の交通機関としてはBangorからバスがでています。

カーディフから北ウェールズまでだと車で3時間半から4時間でしょうか(ルートによってはもっとかかる場合も)。電車や公共の交通機関を使う場合は4時間から5時間Beaumarisなどは5時間半近くかかります。すべての城を回るには最低でも1泊は必要です。北ウェールズはスノードニア国立公園やShort Tripの第23回でご紹介したBodnant Gardenなど,みるべきものがたくさんありますので,できれば是非2~3泊して美しい自然を堪能して頂きたいところです。CADWではExplorer Passという3日間と7日間のパスを出しているので,今回ご紹介した4つの城などCADW管理の史跡を精力的に巡る場合は利用するとお得です。また公共の交通機関を利用してカーディフから北ウェールズへの旅行を考えられている方は,一定の期間乗り放題になるWales Flexi Passの利用を検討されるのも良いかもしれません。

CADW: http://www.cadw.wales.gov.uk/
(検索で各城の名前,もしくはExplorer Passと入れると情報が得られます)

Traveline : http://www.traveline-cymru.org.uk/
(バス・電車の時刻は上記で検索できます。)

Wales Flexi Pass: http://www.walesflexipass.co.uk/eng/

(狩野 記)

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