岡崎さんのウェールズ滞在日記1

ウェールズ補習校 保護者 岡崎香折

はじめに

海外子女教育財団の方からお電話をいただいたのが去年2008年の3月。財団が隔月で開催している「海外駐在員夫人講座」のアシスタントへの依頼でした。突然のお話に驚きましたが、講座の趣旨などを伺って、12年間の海外生活の体験が他の方のお役にたてるのは大変嬉しいことと思い、お引き受けすることにして一年間務めさせていただきました。させていただいてわかったのは、これから海外で生活を始める方のために海外生活の体験をお話するのだと思っていたことが、実は自分のためにもなっていた、ということです。お話をするにあたっては、自分の過ごしてきた海外での日々を振り返る作業をする必要がありました。すると、絶え間なく想い出が広がり、いかに自分がたくさんの方に支えていただいて、そして今日がある、ということを改めて認識することができたのです。

限られた時間の中で話す講座では、お話ししきれなかったこともたくさんありました。ですから、ウェールズ補習校の田口校長先生からホームページにウェールズでの体験を書くことを勧めていただいて、自分の稚拙な文章を危惧しながらも喜んで書かせていただくことにいたしました。皆様のご参考になる部分があるかもしれないということで、ウェールズでの子育てを中心にした部分のお話を書かせていただくことになりました。学校選びから始まってどんな風に学校生活を送ったか、日本の勉強はどのようにしていたか、今振り返ると、それらがどんな意味を成していたと思われるかなども含めて、書いていけたらと思っております。そして、海外生活を何とか無事に送れたのはたくさんの方との出会いがあったからに他なりません。その方たちへの感謝の気持ちも込めて書かせていただきます。


読んで何かお気づきの点などございましたら、忌憚なくご意見をいただければ幸いです。

1.  Walesへ

お砂糖とミルクたっぷりの濃い紅茶が似合う国、これがわたしが想うWales。7歳の息子と5歳の娘を連れ、ヒースロー空港に着いたのは、2000年3月1日の午後。Londonから西に伸びる高速道路のM4を夫が運転して(とばして)2時間半、夫の赴任先Bridgendの近くのPorthcawlという海がある町に着きました。ヨーロッパで暮らせるなんて!と、夢がかなったという心躍る気持ちでいっぱいのわたしでした。

1994年4月から1999年7月までは、南国マレーシアのクアラルンプールにやはり夫の赴任に帯同して暮らしていました。クアラルンプールに住み始めて2ヶ月半後には娘を出産し、様々な経験をしながら5年と3ヶ月の間、子育て中心の生活を過ごしました。本当に、異国の地で暮らす、また日本人も含め様々な人がいる狭い中で暮らす、ということがどういうことか、を身にしみる数々の経験もしました。それでも、濃く青い空、強い陽射し、樹々をすり抜ける風、のんびりしたマレーシア人、そして物価の安さ!もあって、マレー人に間違えられるほど日焼けをしながら、たくさんの人に助けられながら、のんびり子育て生活を楽しんでいた、といえるでしょう。そうはいっても、安全面には不安があり、こどもと自分の命はわたしが守る、という緊張感を常にどこかに持って過ごしていた気がします。

その点、先進国の英国は、安全面では緊張して暮らさなくてよさそう、それに四季もある。芸術も盛んで音楽会にも行ける、歴史的建造物もあるし観光には事欠きそうもない。ホリデーにはおいしいフランスなどにも気軽に行けそうだし、それに自分の趣味も深めるチャンス!もある、などなど、楽しいことばかり描いてWalesに着きました。それは、2007年3月22日に本帰国するまでの、かけがえのない英国生活7年間の始まりでした。

そして、現実の生活はというと、“描いていたとおり”だけではなく、プラスαの部分がたっぷりあったのです。そのプラスαの部分は、素敵な人々との出会いや乗り越えなければならなかった大小様々な大変なことだったのです。日本にいれば解決の道がすぐにみつかるようなことでも、言語も習慣も文化も異なる中、頼れる親も親戚もいない中では、自分で何をすべきか考えをめぐらし、決断し、自分の手に負えないときは周囲に助けてくれそうな人を求め、と自分のあらゆるものを総動員して対処していた気がします(若かったからできたのかも、、、)。今考えると、それらはやりとげたことへの小さな充実感の積み重ねにつながっていたのだと思えます。大変なこと、それは人それぞれ異なりますが、それを乗り越えたときの喜びというのは、超えるのが困難であればあるほど大きいものですし、超えた人にしかわからない種類の喜びや経験を得られるものなので、大変なことに出会うということは、ある種のチャンスをもらうということだとも思うのです。

どんなことがあり、どんな人に出会い、どんな風に過ごしていったか、などわたしの経験をミルクたっぷりの濃い紅茶を片手に読んでいただければ嬉しいです。

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