岡崎さんのウェールズ滞在日記4

ウェールズ補習校 保護者 岡崎香折



4 学校選び

まず何より先に、二人の子供を学校に行かせなくてはなりません。

どこの学校に通わせるか。これは、ずっと続いていく一番の大きな課題でした。わたしは、親の都合で引越しを余儀なくされる二人の子供には、そこで出来る限りのベストと思われる教育を受けさせたい、環境づくりをしておきたいという強い思いがありました。(そこでどれだけのものを学べるかは本人次第ですが)

 とりあえず、夫のリサーチにより、私立のSt Clare Convent School か、近所の公立の小学校かのどちらかにしよう、ということになっていました。両方の学校のアポイントメントをとり、家族全員でみせていただきました。見せていただいて、親の気持ちはすぐに決まったのですが、通うのは子供なので、本人たちにどちらがいいか尋ねたところ、二人とも広い芝生のグラウンドがあるSt Clare Convent School(以降、セントクレアと書きます)がいいと言いました。もう、ばっちり決まりです。

とにかく、わたしは初めてセントクレアを訪問した時に、そこの生徒のお行儀の良さに、メロメロっとなってしまったのです。校長先生のSister Angelaに案内していただいたのですが、生徒たちと階段ですれ違うときは、生徒たちがすっと脇に寄り、手を後ろに組んで立ち止まって挨拶をし、道を譲りました。そして授業中の部屋にSister Angelaが入った時、サッとクラス全員が立ち上がり「Good morning, Sister Angela」と声をそろえたのです。それは映画のワンシーンのようで、ある種の衝撃でした。今思うと、「学校」という教える者と、教えられる者、という立場の違い、また敬うという本来のあり様があまりにも自然に表現されていたからかもしれません。そして、その後わたしが何かの用があり教室にノックをして入ったときも、全員がさっと立ち上がり「Good afternoon, Mrs. Okazaki」というように声をそろえて挨拶をしてくれたのです。その姿に圧倒され、また気恥ずかしさもあって返事をするのもやっとで、用向きさえ忘れてしまいそうになったものです。

しかし、わたしが魅かれたのは、お行儀の良さだけではありません。Sister Angelaという校長先生から、とてもよく生徒のことを把握している印象を受けたのです。教室を案内してくれた時、ある日本人の女の子のノートを開いて、この子は日本から来て数ヶ月だけれど、このようにきれいにノートをとっていて、どういう段階を踏んで勉強を進めてきているか、などを説明してくれました。そして、わたしが予想したとおり、というか予想以上に、Sister Angelaがいるセントクレアは、我が家のこどもたちに様々なことを与えてくれたのです。その頃は子供たちもどんな貴重なことを学んでいたか気づいていなかったようですが、今我が家のこどもたちが「セントクレアに通えたことは、本当に幸運だった。小さい時にいろいろ教えてもらったことが今も大切なことだと思える。」と言っていることから、このSister Angelaとの出会いが、我が家にとってどんなに大きなことだったのかをわかっていただけるでしょうか。ちなみに、建物はとても古くて、ギシギシいい、ある日「上の教室の椅子の足が天井からバキッていって、のぞいたの」と言われて少々びっくりしたこともありました。でも、古くても手入れをしながら使い込んでいるところがなんとも好きでした。

娘が日本の中学受験に向けてたくさんの学校訪問をしながら行きたいと思える学校になかなか出会えなかった中、現在通っている学校を見たときに「この学校にする。この学校は古いものを大事にしているから、きっと生徒のことも大事にしてくれると思う。」と言って、この一校しか受けませんでした。決めた理由というのが、雰囲気がセントクレアに似ていたから、でした。それぐらい、このセントクレアに対する信頼が深いのだと思います。(もっとも、雰囲気は似ていても教育方針は日本の学校ですから、娘はとっても今苦労していますよ)


セントクレアへの入学の許可をいただくとすぐに、レセプション(日本の幼稚園の年長にあたる)の先生をしているシスターが小さな部屋にわたし達を連れて行きました。そこには、たくさん制服がおいてあり、「スカートはこのサイズかしら、ブラウスはこれ、ジャンパーは、う~んそうねぇ、ちょっとこっちの方がまだ新しい感じだわね、、ブレザーとコートはこれ、ネクタイは、、この長さだわね。」というように、二人分の制服をどんどん選んでいってくれました。???なんとそこは、着なくなった制服が寄付されたものをしまっておく部屋だったのです。お下がりを買うという選択があるとは思いもよらなかったので、とにかくびっくり。でも、よく考えるととても良いシステムだと思いました。二人分の制服を新品で揃えたら、かなりの金額になったはずです。しかも、入学金や授業料も二人分。まだ最初は学年が低かったので良かったですが、高学年になれば更に授業料は高くなります。でも、後にイングランドに行って驚きました。教育費がウェールズの2倍程かかりましたので。会社で教育費の補助が出なかったらとても払えませんでした。それに、幸い夫もわたしも酒豪ではなかったので、その点は好都合だったのかもしれません!と、脇道にそれましたが、セントクレアのイギリスらしさ漂う制服も、わたしはとっても気に入りました♪息子はネクタイを結ぶのに毎朝苦労していましたが、、、。

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