岡崎さんのウェールズ滞在日記6

ウェールズ補習校 保護者 岡崎香折


6 英語力


ここで、誤解のなきよう断りをいれますが、わたしの英会話力というのは、挨拶程度です。特に、聞き取りが苦手です。マレーシア時代から英会話はしていましたが、マレーシアでの英語はお互い第二外国語ですから、とってもお気楽でした。Yesterday がつけば昨日のこと、Tomorrowがつけば明日のこと、とわかるので、動詞は現在形で大丈夫!できるときは、「can」を何回か連続して言えば通じます。もちろん、完了形などは使わずにすみます。マレーシアでも個人レッスンを受けていたのですが、一つのフレーズから想像力を発揮して理解した気になり、先生とも相性が良くて楽しかったため、勉強というよりはおしゃべり、相談相手、という感覚で時が過ぎ、英会話力はあまり向上しませんでした。

でも、やはりイギリスでは、このような英語を使う勇気はありませんでした。となると、“貝”になってしまいます。でも、もとが話し好きなので、マーガレットさんに会ったりすると話しかけ、2割ぐらいの単語がわかったら、あとは想像力をきかせて理解?し、会話力の限界に達すると、『子供のお迎えの時間だから』と言って退散したものです。

Walesでもすばらしい英語のプライベートレッスンの先生にめぐりあうことができました。それはMrs. Oakleyという品と教養がありながら、親しみ易い雰囲気の当時60代の方でした。とにかくこの先生にも大変お世話になったのですが、わたしはやはり、勉強というよりは楽しいおしゃべり、相談にのっていただく、という感じで、勉強をするという姿勢が乏しかったために、英会話力の向上はあまりなかったように思えます。しかし、オークレー先生に出会えたおかげで、我が家ではたくさんのことが解決され、道が開けました。感謝してもしきれない恩人です。

つまり、英語力の向上を望むならば、やはり強い意思がなくては無理、週に一回、良い先生についたから向上するものではない、ということが経験上の結果です。12年間も海外にいるというと、誰もが「英語はペラペラでしょう」と思ってくださるのですが、残念ながらそれは違うのです。自分を擁護するならば、学校時代の成績は悪くはありませんでした。読み書きはそこそこできます。でも、聞く話す、はわたしにとっては別物でした。このレベルの英会話力でもなんとか無事に?乗り切って生活できてしまったので努力しなかったのかもしれません。(もちろん、マレーシアで出産するときや、子供が病気になったときなどは、一生懸命、準備や対策をしましたよ)

ただ一度だけ、英会話力の向上に燃えようかな、と思ったことがあります。それは、イングランドに住んでいて娘がYear7の時でした。娘の学校は白人が多く、ある体育の先生が有色人種はお好きではないという噂は耳にしていました。その頃娘は、英語の授業でも他の子と遜色なく勉強をしていました。ある時、その女の体育の先生が「貴女の英語って、きれいでとっても上手ね」と体育の授業中声をかけてくれたそうなのです。娘が「5年間イギリスに住んでいるので」と応えると、「あら、そう?それにしては貴女のお母さんは英語ができないのね」と皆の前で言ったそうなのです。娘は、とても腹が立ったと、ママは他のことがたくさんできるのに、あんな言い方ひどいと話していました。この話を聞いた直後には、娘に恥をかかせてしまったということからも英会話力向上に燃えようかと思ったのですが、その後の娘の言葉を聞いて、まぁ他の事に力を注いでいるのだから、このままでいいかな、と思ってしまいました。よって、自分を甘い位置においたお蔭で、残念なことに未だに進展はみられません。

では、困ったときはどうしたの?と聞きたくなると思います。それは、困ったときは、”手紙“を使うのです。イギリスに来て、「予約」と「手紙」はイギリス社会では欠かせないものだと知りました。先生と話をするのも、病院で診察を受けるのも、レストランで食事をするのも、「予約」をすることで、込み合うこともなく、ゆったりとスマートにことがすすみました。

「手紙」で様々なお知らせが来ることは、わたしにとっては好都合でした。辞書をひきさえすれば、理解できるのですから。そして、何か伝えたいときは、「手紙」を書けばよかったからです。学校の体育の授業の見学にも、「今日は息子はお腹が痛いので、見学にさせてください。」というような文章を体育の先生宛に書き、封筒に入れてこどもに渡します。それによって、体育の授業は見学を許されるしくみでした。最初は、どんな風に書けば失礼のない手紙か、などと悩みましたが、英作文の本を参考にしたり、英語の先生にお手本を作ってもらい、それを雛形にして、頭が痛い、風邪気味、のどが痛い、などとバリエーションをつけていきました。

また、こどものことで、先生に相談に伺う約束をしたときも、事前に状況を手紙で記し、それを持参して、読んでいただいてから話しをしました。そうすることで、論理的内容は手紙で理解してもらえ、こちらの感情や思いは、会話することで伝えられ、ということで効果的だったと思います。

また、ちょっと無理かな、と思うことでも、手紙の文章の書き方によっては、相手の心に響いて、可能になることもありました。たとえば、息子が中学生になったとき、通学バスに乗れない地域だったのですが、乗りたい理由や、それによる学校側のメリットなども書き添えて文章にして送ったところ(もちろん英語のオークレー先生に書き方を教えていただき)、乗せてもらえることになり、とても助かったこともあります。他にも、手紙を書くことで、様々な事務的なことも、進んでいきました。ただ、本当に着いているかな、と郵便事情を心配することも多々ありましたけれど。

家に毎日いると、早朝から配達してくれていた、おしゃれなひげをたくわえたポストマンや、自転車をこぐポストレディ?が手紙を届けてくれるのは楽しみのひとつでした(メールも今ほど盛んではなかったですし)。こんなふうに想い出をたどっていると、美しい街並みや、羊が草を食む風景が目に浮かんできます。きっと、今ウェールズに住んでいらっしゃる方は、当たり前、と感じているかもしれませんが、離れてみると、それは豊かな生活だったのだなぁとしみじみ思います。

いつか、スラスラと自分が思うことを英語で話せるといいなあ、と切実に思っています、、、、でも、これは将来のお楽しみの宿題にとっておくことにします。。。♪(こどもには厳しく、自分には甘いと反省しつつ、、、)

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