岡崎さんのウェールズ滞在日記11

岡崎さんのウェールズ滞在日記11

ウェールズ補習校 保護者

11.ジャネットさん宅でのクリスマス

 陽平が英語の勉強をみてもらっていたジャネットさんとその夫のバセリーが、日本に行ったことがあり日本食も好きだという話を聞いて、我が家へお食事にご招待しようと思い立ちました。ジャネットさんとバセリーとその息子のアレキサンドラは喜んで我が家に来てくれました。家庭料理の日本食ですが、とてもおいしいと何でも食べてくれたのを覚えています。

 その後、ジャネットさん宅にも呼んでいただいて、バセリーのおいしい手料理、そしてジャネットさん手作りのきれいなピンク色に煮たルバーブをアイスに添えたデザートをいただいたりする機会もありました。そうそう、そのとき、スパイダーをデザインした個性的で可愛らしい小さな椅子を目にし、とても素敵だと誉めました。すると、その椅子はデザイナーである弟さんの作品で、譲ることができると言い、すぐに弟さんに電話をして値段を聞いてくれました。すると弟さんがお金は要らないといってくださったそうで、なんと、そのままいただいてしまいました。そして今も、その手作りの椅子は我が家のリビングにあり、来客の目に留まっては話に花が咲くのです。

2003年のクリスマスには、ジャネットさん宅でのクリスマスディナーに招待していただきました。英国人が家族で祝うクリスマスに招いていただいて、心浮き立ちとても楽しみだったのを想いだします。そして、そのときの笑顔あふれる温かい時間が、その時のまま頭の中で今も繰り広げられていきます。

 12時に家族四人で伺うと、ジャネットさんの弟さん家族がいらっしゃいました。まもなく彼らは帰られ、ジャネットさん、バセリー、アレキサンドラ、85歳のジャネットさんのお母さん、92歳になるジャネットさんのお母さんのお姉さん(つまり、ジャネットさんの伯母さん)、そしてその息子さんのジョン(ジャネットさんの従兄)とのお食事会が始まりました。

 最初にリビングルームでシャンパンとサーモンやサーディンが小さなパンにのっているカナッペをいただきました。それから、皆でダイニングルームに移ったのです。すると、10人分の風格ある食器やグラス、カトラリー、花で飾られたろうそくなどが、整然とそして華やかに赤いクロスがかけられたテーブルにセットされていて、私たち4人は目を見開きました。シャンデリアからは、アレキサンドラが幼稚園の時に作ったというクリスマスオーナメントなどが吊るされていてほのぼのとした味わいもありました。

 ジャネットさん夫妻から皆の健康などを願う言葉の後、乾杯。それから、一人ひとりの前におかれていた、小さな筒をきれいな紙でキャンディー包みのようにしてあるクラッカー、これを、隣の人と、引っ張り合って開けるというのです。次々と、パ~ンという、結構耳に響く音と笑い声が部屋を包みます。わたしは、隣の席のジョンや葵と引っ張り合いました。でも、なかなかクラッカーの紙は破れず、思い切って引っ張ると椅子からずり落ちてしまうほどの勢いでした。今もこのときの写真をみると、思わず笑ってしまいます。

クラッカーの中には、紙の王冠と、おまけ、そして小さな紙が入っていて、ジョークが書いてあります。なんて、楽しいのでしょう。色とりどりの冠を頭にのせ、クラッカーにどんなおまけが入っていたかを見せ合い(この時のわたしのおまけは、メジャーでした)、またその書いてあったジョークを読み上げて皆で笑いあうのです。(もちろん、わたしはゆっくり解説してもらいワンテンポ遅れて笑ったわけですが)陽平は今でもそれを覚えているといい、”What does a traffic light put on his toast for breakfast?”とあったそうです。答えは、、、Jam(Traffic jamから…)。

 そしてディナーが始まりました。スープ、前菜、そして主役のターキーは、バセリーが腕によりをかけ、時間をかけて焼き上げたとのことで、銀トレーにのって登場すると皆が歓声をあげました。テーブルの上に置かれたまるまるしたターキーは、存在感があって、絵本の中でしかみたことのなかったヨーロッパのクリスマスが目の前にありました。ターキーは、バセリーが切り分け、クランベリーソースかグレービーソースをかけるかと聞かれました。一般的に、ターキーにはクランベリーソースが合うというので、それでいただくと、お肉は得意なほうではなく、初めていただくターキーでしたが、とってもおいしかったのを覚えています。なんと、その後に出てきたのが、室内花火。えっ、、、、家の中で花火をしてしまうのかとびっくりしてしまいましたが。ジャネットさんが、手に持つ花火に順番に火をつけていってくれると、線香花火よりしっかりした火花がキラキラチラチラとテーブルの上をきらめかせ、老若男女がその光に見入りました。

 ゆっくりお食事を楽しむと、皆、お待ちかねのクリスマスプディングが運ばれてきました。バセリーがブランデーをたっぷりかけ、火をつけました。青紫の炎の中にプディングがゆれる一瞬の幻想的な雰囲気に息をのみました。そしてそのプディングに、ブランデーバターやブランデークリームをかけていただくのです。スーパーでクリスマスの時期になると売られるブランデーバターは、どうやって食べるのが一般的なのかな、と思いながらも、トーストに塗り季節限定のおいしさだと思って食べていたのですが、伝統的な本来の食べ方を知ることができました。クリスマスが過ぎると全くみかけなくなる理由もこれで納得しました。

 食べ物のことばかり書き連ねてきましたが、わたしにとってこの日が忘れられない一日になったのは、お食事や演出はもちろんですが、目が不自由なジョンの話の内容の豊かさによるもの、ジャネットさん家族のかもしだす心満たす幸せな雰囲気だったのです。

ウェールズ日本人会 email
Wales Japan Club All Rights Reserved
www.walesjapanclub.comに掲載の記事・写真の無断転載を禁じます。