補習校便り 2009年9月

読解力を伸ばすために

田口知子

 先週は、久しぶりに国語の代行授業をしました。教材は、詩「未確認飛行物体」です。七月にロンドンで行われた現地採用教員研修会で、演習活動に取り上げられた教材です。7月11日付の補習校だよりでも、触れた話題ですが、もう一度この詩を取り上げてみたいと思います。

 授業では、薬缶の一生懸命なところが分かる言葉を見つけ、薬缶の気持ちを想像しながら読むことにポイントを置きました。スーパーマンのように右腕を前に伸ばし、力強く飛んでいくポーズをして見せてくれた児童、白板に地球と砂漠の花と人口衛星を描いて、情景を示してくれた児童。また「家の人に見つかったら、外に出られなくなってしまうから、夜、こっそり出かけていくのだ」「砂漠は水が無いから、水をあげないと死んでしまう」と考えたことを出し合いながら読み進めました。(でももちろん、そんなに速かないんだ)の部分は、薬缶の言葉か作者の言葉か、意見がわかれましたが、いろんな解釈があってよ いと思うので、結論づけないでおきました。

最後に、帰る途中の薬缶の言葉を書いてもらいました。教師にとっては、授業の評価になる部分です。結果として、表面的な読みは達成できましたが、花への大好きな気持ちや優しさに共感できるところまで読みを深められたかどうか、反省点が残りました。力を出し切って考えさせられたかどうかは、授業力によりますが、その一方で読みの深さは、学習者の経験や想像力にもよります。私は、薬缶と聞いて、電気ポットに主役を奪われ、棚の奥で忘れられている古臭い薬缶をイメージしていました。ところが導入から想定外の言葉が返ってきました。複数の児童が「薬缶なら家にある、普段から使っている、コンロの上に置いてある」と言うのです。もしも、モダンなおしゃれなケトルが主人公だとしたら、なんだかかっこいい正義の味方という感じがします。台所の片隅の薬缶が、自分と同じように寂しい砂漠の花と心を通わせる、という読みは、はずれてしまいました。

 教室学習の意義は、討議を通して、違った考え方を知り、視点が広がることにあります。読解力とは、音読、内容理解、読み取り、自分の考えを言葉で他の人に伝える、別の考えを聞いて考える、すべての力を含みます。読解力を伸ばすには、週一回の授業では、どうしても限りがあります。そこで家庭学習が重要になります。国語の教科書には、精選された文章が掲載されています。教材はもちろん、お子様がどんな読みをしているか、お子様の思考過程にも興味を持って、いろいろ問いかけてみて下さい。ときには親子討議もおもしろいでしょう。また、あのねちょうに学習後の感想を書くのも、効果的です。教室学習と家庭学習をうまく連携させ、読解力アップをめざしましょう。(2009 9月 5日)

夏休みの成果を共有

田口知子

 先週の朝会で、私の元に届いた夏休みの成果を二つご紹介しました。小4高橋周也君のサマースクール句集(俳句のミニブック)と小3漁野朱里さんの水彩画つきあのねちょうです。今週は、小4梅津侑太郎君の夏休み中の読書記録表をご紹介する予定です。小5菊地宗一郎君からは、夏休み明けに立派な旅行アルバムと旅行記を見せてもらいました。小1菊地優太郎君も旅行アルバムを作っているとお聞きして、ぜひ見せてほしいと優太郎君にお願いをしたところです。大切な物は展示を控えさせていただきますが、具体的な事例はできる限り、朝会の場で生徒や保護者の皆さんにご紹介したいと思います。長期休暇中にどんなことができるか、今後のアイデアにつなげていただければと思います。また計算や漢字を練習したノートや日記帳なども見せ合うことで、お互いの励みになるはずです。

 小2のクラスでは「もうすぐ夏休み」という単元で、夏休み中にしてみたいことを見つけ、どうしたら達成できるか小6生に質問をして、それを文章にまとめる学習をしました。実際にどの程度達成できたか、続きをあのねちょうに書いて、結果をぜひ教えて下さい。

 2学期が始まって既に三週間たちましたが、夏休み中の振り返りは、きちんとできているでしょうか。ここで一区切りつけておくことが、次へのステップにつながります。夏休み中の成果を親子で確認し、達成感を共有なさって下さい。あのねちょうや作文ノートに「夏休みを振り返って思うこと」について書いておくことも一つです。小3以上は、通知表に生徒のコメント欄もありますので、今学期の目標などを書いて提出して下さい。 このように、機会をとらえて自己を振り返ることは、考える力を鍛えてくれます。これから学習を深める大切な時期です。心構えを新たに良いスタートを。(2009  9月19日)

今年度の文集のテーマ

田口知子

今年度の学校文集のテーマが、決まりました。テーマは「家族」です。昨年は「友達」について書きました。「家族」については、過去のテーマ「ありがとう」や「忘れられない」で、家族への感謝や家族旅行の形で登場していますが、テーマとして取り上げるのは初めてです。

文集のテーマは、焦点を絞って、題材探しができるように設定しています。題材がすぐに思いつかなくても、教室で友達のアイデアを聞くことで、考えを広げることができます。また、全員が同じテーマで作文を書くので、文集にまとまりが生まれ、友達や先生の作文を読むことで、同じテーマでもいろいろな内容の作文が書けることを、具体的に知ることができます。

テーマが何であれ、作文の核になるものは、「自分が何をどう感じたか」です。うれしかったり悲しかったりした気持ちは、その本人にしか書けないことです。心に強く刻まれた出来事を具体的に取り上げて、単なる家族の紹介文に終わらない作文に仕上げましょう。例えば「家族」をキーワードにして、作文に書けそうな事柄(題材)を連想ゲームのように、マッピング図に書いてみるとよいです。そしてその中から、一番書きたいことを選びます。頭の中のアイデアを実際に紙の上に、メモしていくことで、題材と構成が、形となって見えてきます。

このように、10月は、教科書の単元学習と平行して、家で作文の下書きができるまでの過程を手助けします。まずは、作文に書けそうなことをたくさん集める題材探しからです。題材が決まったら、具体的にどんな体験例をもり込むか、材料集めをします。書き出し、中心に書くこと二つ、しめくくりの四つのまとまりで、構成を考えるようにするとよいです。題材探しと構成の過程は、教室学習だけでなく、宿題にして家でも考える時間を設けます。学年に応じて、親子の会話を充分にとっていただけますようにお願い致します。友達との討議や親子の会話を通して、テーマについていろいろな側面から考えてみましょう。

「家族」のテーマをどのように広げるか、先生たちの間でも、話し合いました。例えば、両親や兄弟、日本の祖父母だけでなく、家族の一員としてペットについて書くのも一つです。こんな家族がいたらという想像作文、家族の一人になって思い出の一日を描写するなりきり作文も、楽しいです。高学年であれば、友達の家族を見て思ったことや、家族関係の日英比較もおもしろい題材になります。普段言えないことを手紙文にしたり、ハードルは高くなりますが、理想の家族関係や少子化問題を意見文にまとめたりすることもできます。「家族」というテーマから、どんな作文が登場するか、とても楽しみです。(2009  9月26日)

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