補習校便り 2009年10月

作文は題材が命

田口知子

 作文は、題材が命です。その子どもの個性やその子どもにしか書けない事柄を引き出すために、時間をかけて題材探しを行っています。

 先週、小三の児童と作文の学習をする機会がありました。最初の段階では、書こうとする事柄が、もやもやとしていることが多いものです。ある児童が「おじいさんは、カラオケが好きで、おばあさんは、料理が好きで・・」と話し始めました。この時点では、家族が好きなことを順番に書くつもりだったようです。「おじいさんと、カラオケに行ったことがあるの」と聞くと、「夏休みに行った。おじいさんは家でもカラオケをしている」と教えてくれました。「だったら、おじいさんのことだけで、作文に書く材料がいっぱいありそうだね。」と言うと「うん、そうだね」と顔が輝きました。書き出しとしめくくりの間、つまり中の部分には二つのことを書くとよいねということを確認していたので、「一緒にカラオケに行った時のこと」「家でカラオケをするおじいさんの様子」をくわしく教えて下さいねと伝えました。

 別の児童は、「サイクリング」「そば作り」「イギリスに来て」の三つのアイデアがあり、決めかねていました。話を聞くと「日本でそば作りをして楽しかった」「イギリスで家族がいてくれてよかったなと思った」と言います。「現地校で不安だったけれど、休み時間に兄弟の顔を見てほっとした」「どこかに出かける時にお父さんがいてくれてよかった」と教えてくれました。後者の方が、おもしろい作文になりそうです。その子どもにしか書けない事柄だからです。私に説明をしている内に、自分でも後者の方が、書く材料が多いと気づいたのでしょう。題材は「イギリスに来て」に決まりました。題材探しは、子どもの話をたくさん聞いてあげることです。話しながら題材が整理されてきます。

 他には「お姉さんがいたらいいな」「こんなロボットがいたらいいな」といった題材が登場しました。

 題材探しとは、書きたい事柄の焦点を絞ることです。あれもこれも盛り込むと、伝えたいことがぼやけてしまいます。一つの事柄を詳しく書くことで、その時の自分の気持ちを追体験し、言葉にしていくことができます。そうすれば、しめくくりに、「楽しかったです。」「好きです。」とわざわざ書かなくても、読み手は文章から感じ取ることができます。その日の作文の学習は、しめくくりが効果的な作文例を読み聞かせて、終わりました。
構成メモを仕上げるのは、宿題になります。

題材と構成指導は、作文指導の一つ目の山です。作文に何を書くか、取捨選択させ、何をどのような順番で書くと効果的かを、下書きに入る前に明確にしておきます。ご家庭でも、お子様の作文構想が明確になるように、親子の会話を通して、手助けしていただけますようにお願い致します。(2009 10月17日)

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