補習校便り 2010年1月、2月

補習校便り 2010年1月、2月


補習校の役割と家庭学習

田口知子

元生徒の皆さんからカードや年賀状をいただくのが、冬休みの大きな楽しみです。今年度も、いろいろなニュースが届きました。大学院進学や就職の報告(就職活動は大変だったとか)があったり、コンクールで入選した絵の写真が同封されていたり、皆それぞれにがんばっていて、頼もしいです。また保護者の皆さんからは、南北の中間点に集合して、なつかしい再会を実現したというようなご報告もありました。ウェールズでの出会いは、宝物のようです。また、お子様が元気にがんばっているとお聞きすると、教師一同とても安心します。これまでも、日本の学校になかなかなじめず、最初の一年は苦労したというお話や漢字テストの採点が厳しいことにびっくりした話、得意だったはずの数学で、自信を失いかけたが、なんとかクラスの上位になれた話など、いろいろ教えていただきました。帰国後の情報は、指導上でも参考になります。最近、ある保護者の方からお便りをいただきました。教師だけでなく、保護者の皆さんにとっても、励みになり、指針ともなる内容でしたので、ご本人の了解を得て、一部紹介させていただきます。

「2年間とはいえ、我が子にとっては、日本の学習から離れたとても長い時間でした。日本に戻ってやっていけるかが、気がかりでしたが、こうしてすんなり学校に馴染むことができ、何より勉強についていけていることを思うと、本当に補習校はとっても大切な場所だったのだと改めて思います。現地校がメインで、補習校は週に一度で2教科。補習校のことをご存知ない方には、やっていることは塾とそんなに違わないのでは…なんて思われるかもしれませんが、とんでもございません!とイギリスで生活していた頃よりも、帰国して更に思います。運動会、遠足、朝会、毎月の歌、そして朝会で日本のニュース、日本の行事、日本の四季、漢字等についてお話ししてくださることも、大切で貴重な時間だと、私個人の意見として率直にそう思います。日本の勉強は大切です。しかしながら、補習校は補習という名の通り、補習であり、絶対に家庭での学習が重要です。」お便りを下さった方は、平日は現地校に通う子供たちが、休日の土曜日も補習校に楽しく通う意味がどんなところにあったのか、帰国してから切実に感じられたそうです。

家庭学習あっての教室学習、教室学習あっての家庭学習。両者がうまく機能してこそ、学習成果が生まれます。良き学習習慣をしっかりと身につけて、地道に学習を続けましょう。教師の方では、効果的な教室学習と宿題を工夫しながら、お子様の学習を後押ししていきますので、ご家庭でもご支援いただけますように、よろしくお願い致します。特にこれから一年間のしめくくりに向けて、気が抜けない時期となります。(2010年1月30日)



最近の方言教育


田口知子

 最近、方言教育の取り組みがおもしろいです。例えば、愛知県の小学校では、三河弁を交えた創作劇を地元の人たちに発表したり、青森県の中学校では、津軽弁を使った方言川柳を作ったりしています。例えばこんな作品です。「わのばっちゃこくてもスマイルわすれない」(私のおばあちゃん疲れてもスマイルを忘れない)かつて、方言は国語教育の中では、直すべきものという位置づけで扱われてきました。約10年毎に改訂される学習指導要領の77年、89年改訂版では「なまりや癖のない正しい発音で話すこと」「共通語と方言とでは違いがあることを理解し、また必要に応じて共通語で話すようにすること」とされていました。沖縄では、1970年前後に至るまで、学校で方言を使うと罰で「方言札」を首にぶら下げられたそうです。何年か前の学習発表会で、中学生が、沖縄出身の留学生にインタビューして、沖縄の言葉を紹介した時にも、そんな話題が出たことを覚えています。そして98年2008年の改訂では、「共通語と方言との違いを理解し、また必要に応じて共通語で話すこと」となりました。特に2008年の改訂(11年度から全面実施)では、「共通語と方言」の分野は、言葉への理解を深める「言語事項」の一つから、身につけるべき大切な能力「話すこと・聞くこと」の一つへと位置づけが変わっています。ただ、全国で通じる共通語を話させることは、昔も今も変わらない指導の中心にあります。上記にあげた方言教育は、先進校の例ですが、方言についての学習は、興味深い分野です。方言で俳句を作るのも楽しそうです。

 さて、2月20日に学習発表会があります。一年間の学習成果を見ていただく一つの場として、音読劇のほかに、方言や敬語をはじめ、言葉のいろいろな面を取り上げて発表します。音読への自信を伸ばし、国語の発展学習として成果が出るよう、家でも繰り返し練習し、本番に備えてください。(2010年2月6日)

語彙力を高める方法

田口知子

 国語力の基本は、漢字力と語彙力です。新出漢字は、熟語で覚えますから、漢字の練習は語彙の向上に直結します。しかし、新しい語句や語彙は、ただ単に意味を知っているのではなく、実際に文章の中で使えないと、生きた言葉の力にはなりません。
国語でも算数でも、授業には、語彙を広げる活動がたくさん詰まっています。国語では、漢字学習のような語彙の集中学習はもちろんのこと、教科書の文章をじっくりと読み進める読解活動を通して、語彙力が広がり、言葉の感性が磨かれていきます。例えば「見る」という動作一つでも、「目を落とす」「じろじろ見る」など、いろいろな表現が出てきます。こうした一つ一つの言葉を大切にし、表現の違いを意識して読み進めることで、言葉の幅が広がります。算数、数学では、専門用語をおさえながら、問題文を図や絵にしたり、解き方を順序良く説明したりする活動を通して、言葉の力を鍛えていきます。
 さて、先週の学習発表会は、いかがでしたでしょうか。この行事は、授業の発展学習として位置づけています。保護者の皆様には、ご家庭での音読練習や小道具の準備などで、お子様を応援していただき、大変感謝しています。お陰様で、児童生徒の意欲を、より一層、引き出すことができました。動作化と暗唱は、言葉の世界を広げ、語彙力を伸ばしてくれます。歌は、楽しみながら、歌詞を覚えられるので、効果的です。高学年では、調べたことを分かりやすく伝えるために、情報を取捨選択し、内容をまとめあげる過程が、言葉と思考の訓練になります。
 語彙力を伸ばすためには、ご家庭での取り組みがものをいいます。例えば、新しい語句を、辞書を引いて調べたり、文章や短文を書き写したりすることを習慣づけていくとよいです。最後に、最も大切なこと。それは、読書です。抽象的な言葉や概念を理解するには、文章をたくさん読むことが不可欠です。(2010年2月27日)

ウェールズ日本人会 email
Wales Japan Club All Rights Reserved
www.walesjapanclub.comに掲載の記事・写真の無断転載を禁じます。