補習校便り 2010年6月

補習校だより 2010年6月

国語の教科目標

田口知子

 国語は答えが一つではないから、子供のときから嫌いな科目だった、と言うお父様の声をお聞きしたことがあります。確かに「スイミー」のように、「リーダーシップの大切さ」を説く話か、「協力することのすばらしさ」を説く話か、と問われると、人それぞれどんな読み方をしてもよいのではないかと思います。

 その一方で、国語の読解問題の試験では、解答またはその根拠が必ず文中に書かれています。ですから、誰が読んでも必然的に解答は一つです。試験では正しく読み取ることが求められますが、いろいろな意見を出し合えるのが、国語の教室学習のおもしろさでもあります。

 授業の展開は、授業者の指導意図によって変わってきます。その教材を通して、どんな力をつけさせたいかが授業の核となります。「スイミー」を読んで、みんなで協力することが大切ですよ、ということを指導するなら、道徳の授業になってしまいます。また環境問題の説明文を読んで、ネットでいろいろ調べるだけなら、社会科の勉強になってしまいます。国語は、言葉の勉強です。新しい漢字や語彙を学び、正しく読めること、書けることが基本です。その上で、調べた事柄を、どのような書き方をすれば分かりやすく伝えられるか、工夫することが言葉の勉強です。全体の構成をとらえ、要点をまとめる練習も、登場人物の人柄や気持ちについて、どこからそれがわかるのか、根拠になる文章を見つけ出しながら読んだり、討論したりするのも、言葉の勉強です。討論会は、正解を一つに絞るのが目的ではなく、話す・聞く力を磨く訓練です。意見文や日記(生活作文)を書く時は、説明文を通して、順序よく論理的に説明する書き方を、物語文では、情景描写や、たとえの表現などをまねることができます。読むこと、書くこと、話すこと、聞くことは、すべて連同しています。

 国語の教科目標は、いろいろな学習活動を通して、言葉の力を磨くことです。つまり書き手の言いたいことを正しく理解し、自分の伝えたいことを相手にきちんと伝えられること。これは、一生ついてまわる言葉の力です。

 授業の指導目標は、学級通信などでご家庭に発信しています。指導目標を達成するためには、家庭でしっかりと教材を読んでくることが不可欠です。「しっかりと」という言葉も、実はとても曖昧です。しっかりと読む、というのは、読めない漢字に振り仮名をうつ、一続きの言葉は、途中で変な区切り方をせず一続きで読めるようにする、声に出してできるだけ回数多く読んでくる、といったことを意味します。家庭での読みが不十分だと、授業で文章の読みを深めていくことはできません。

 お子様は教科書の文章を、どのくらいすらすら読めるでしょうか。国語の教科書に限らず、時には、算数や社会、理科など他の教科の教科書も、音読してみるとよいです。
(2010年6月5日)

家庭での音読練習の方法

         田口知子

 子供に「勉強しなさい」「読書をしなさい」「復習しておきなさい」と言うのは簡単です。しかし、この一言で子供が思い通りに動くとは限りません。教師も保護者も、子供に何かをさせたい場合は、させたいことをダイレクトに言うのではなく、そのようにしむけていくことが必要です。子供も何回も同じことを言われていると、反発してやる気がなくなったり、耳を素通りしてしまったりするでしょう。

 ところで、小学校の宿題の一つに、家庭での音読練習があります。学年によっては、保護者が記録する音読チェック表があります。日々音読練習につきあうには、保護者側にも忍耐力が必要です。

 音読練習は、保護者が横についていなくても、食事の支度をしながらでも、アイロンがけをしながらでも、聞くことができます。一日の細切れ時間をうまく、利用してみてください。お父様の協力が得られる場合は、音読チェックを、休みの日のお父様の担当にされるのも、よいでしょう。とにかく低学年の間に、音読練習を習慣づけてしまうことです。
 しかしいつも同じ方法だと、だれてくるかもしれません。

 音読練習がマンネリ化してきたなと思ったら、方法を変えてみます。音読が上手にできない間は、親の後について、文節ごとに区切って、追い読みをさせるとよいです。慣れてきたら、一度に読む部分を長くしていきます。それができれば、一文ずつ、親子で交代で読みます。交代で読むので、集中させることができます。段落毎に交代で読むのも効果的です。文章のまとまりを意識させることができます。役割読みも、楽しいです。物語文なら、家族をまきこんで、会話文やナレーターと役割を決めて読みます。そして仕上げは、全文一人読みです。

 全文読みができるようになったら、さらに上をめざします。一回でもつかえたり、読み間違ったりしたら、そこで終わりにします。毎日、最初から読み始め、どこまで読めたか記録をのばしていきます。つまり、完璧読みをめざします。小3の教材で、物語文をほとんど暗記してしまって、教科書を見ないでできる児童がいて、驚かされたことがありました。何回も読んでいると、文章のリズムがすうっと、頭に刻みつけられるようです。毎回は無理でも、お気に入りの文章があれば、部分暗記に取り組んでみるとよいでしょう。そして、最後は、登場人物になりきって、情景を創造しながら気持ちをこめて読む表現読み(朗読)です。スピード読みで、読みにかかった時間を記録していくのも、伸びが目に見えるので励みになります。「音読した?」と言う前に、「時間を計らせて」ともちかかけてみれば、高学年でも、意欲を見せるはずです。ご家庭でいろいろな方法を試してみて下さい。
(2010年6月12日)

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