補習校便り 2010年11月

補習校だより 2010年11月

国語力を高めるために

         田口知子

 来週は、巡回指導による校内研修会を行います。ロンドン全日制日本人学校から、友村校長先生と大角先生(国際理解部主任・小2担任)と古川先生(小学部統括・小6担任)がお出でくださいます。今回は、小2,3年合同クラスで、研究授業(10:40-11:20)を担当していただき、教師全員が参観します。また1年生のクラスでは11:20-12:00の40分間、モデル授業をお願いしています。11:00-11:20の20分間、小2,3年以外は、漢字テストなどを行います。午後の算数・数学(2:35-3:00)もテストなどを行います。九月の学級代表の会で、代表の方に日課表をお渡しして、監督へのご協力をお願いさせていただいています。各学級でご相談の上、対応していただけますように、どうぞよろしくお願い致します。教師は2:10まで算数・数学の授業をした後、四時まで授業検討会をもちます。

 今年度は、「説明文の指導」をテーマに研修を続けてきました。今回の研修会では、光村図書の過去の教材から「ことばをおぼえたチンパンジー」を選びました。この話は、アイというチンパンジーが、物を表す図形文字(コップや鉛筆など8つの物)と色の名前を表す図形文字(赤や黄色など11種類)、最後に一から六までの数字を覚え、筆者が見せる多くの物に、図形文字で答えることができるようになったという報告文です。結びで筆者は、悲しいとかうれしいといった気持ちを表す図形文字が使えたら、チンパンジーと話ができるようになるかもしれないと、述べています。子供たちがどこまで読み取れるか期待しています。

 国語の教科は、国語力を高めるために、具体的にどんなことを、学習目標に設定すればよいのでしょうか。日本語学者の金田一秀穂氏は、国語力を高める上で大切なことは、「美しさ」ではなく「正しさ」だと言っています。美しい文章や感受性豊かな文章を書けることが、国語力の証のように思われていますが、言葉にとって大切なのは、見た目の美しさではなく、何よりも先に「正しさ」であるということです。そして、本当の国語力を高めていくポイントとして、情緒を切り捨てることと、事実と論理だけで文章を組み立てていくことの二点をあげていました。

 国語の授業では、文章の内容と筆者の伝えたいことを正しく読み取る訓練をします。国語には、算数の計算問題のように、その学年で読まなければいけない課題文が決められているわけではありません。教科書の文章で、読み方のコツを学び、それを別の文章に応用していきながら、読みの力を高めていきます。研究授業で、小2は、事柄の順序を考えながら読んで内容を理解し、小3はさらに段落相互のつながりに注目しながら読み、内容の中心となる語や文をとらえることを目標にしました。授業では読みの目標を明確にして、読み方の基本を学びます。ご家庭では、すらすら読めるまで、地道に音読練習を続けて下さるようにお願いします。(2010年11月6日)

算数、数学の力を高めるために

田口知子

算数・数学の学力を伸ばすために、必要なことは何でしょうか。長年、数学を指導してきて、算数・数学の学力の基本は、まず計算力と暗記力につきると思います。低学年の間は、質より量です。毎日、足し算、引き算、かけ算九九の百ます計算を続けることをおすすめします。ます目の計算に慣れるまでは、式による計算ドリルでもかまいませんが、一枚の用紙で百問の計算ができ、家庭でも簡単に手作りできる百ます計算は、とても便利です。時間を計って行うことで、集中力が高まり、力の伸びが子供にも見えるので、励みにもなります。毎日時間を決めて、習慣づけられるまで、半ば強制的に取り組むことが必要です。高学年・中学生になっても、計算問題が速く正確にできるまでは、量をこなすしかありません。計算問題がクリアできれば、量より質の学習を大切にして下さい。つまり、計算問題で、どういう間違いをしたのか、ミス直しを念入りに行うということです。ミスノートを用意して、間違った問題を集めて、必ず自分で解き直しておきます。そして、なぜミスをしたのか、例えば「符号を間違えた」などのように、理由を分析してメモしておくとよいです。同じような間違いを繰り返していることを自覚することが、ケアレスミス対策の第一歩です。またテストが返却されたら、計算ミスなどのケアレスミスが、何点分あったか、集計してみましょう。ケアレスミスがなければ、後何点とれていたかを考えるのは、かなり効果的です。テストや宿題は、間違い直しと弱点補強をするためにしっかりと活用してください。

 学年が上がるにつれて、分からなくてもすぐにあきらめないで、じっくりと問題を考えてみる根気強さがものを言うようになります。生徒達は、分からない問題に出会うと、一般的に、手が止まってしまいがちです。しかし、解決の糸口が分からなくても、とりあえず、分かる事柄を何でもよいから、書いてみることです。図を描いてもよいし、分かる数字を書き出してみてもよいのです。頭の中だけで考えていないで、手を動かしてみることが大切なのです。

 しかし、算数、数学のひらめき、つまり発想力はどうすれば身につくのでしょうか。文章問題や図形問題で、解答の糸口を見つけ出す発想力、こればかりは、シンプルな問題を地道にこなしていくだけでは、獲得できません。やはり、自分の力よりも少し上のチャレンジ問題と取り組み、根気強く考える訓練をする中で、発想力が養われていきます。低学年の段階から、論理的に考えていく訓練を少しずつ続けていくことが重要です。その訓練に効果的なのが、文章問題です。計算は得意でも、文章問題が苦手だという声をよく聞きます。算数、数学は、考える教科です。自力で解けなくても、先生や親と一緒にじっくりと考えながら問題を解いていく訓練が、きっと後で成果につながります。

 ただし、どんな勉強も、やらされていると思うと、苦痛になります。考えることが楽しく感じられるように、おもしろいと思える場面を、たくさん経験してほしいと思います。「あ、そういう方法もあったか」という感動が、おもしろさをひっぱり出してくれます。数学は答えにたどりつくまでの道筋が、複数あるから、おもしろいのです。答えが出たらよしとするのではなく、別解にも目を向けてみましょう。

 最後に、算数、数学で必要なことは、言葉の力です。これは、文章問題を解く場合だけに限りません。数学は考える教科です。考えるということは、言葉で論理を組み立てていくということです。学習した法則や解き方を自分の言葉で説明することで、理解が確実なものになります。算数、数学においても、学習事項を積極的に言葉に出して表現し、言葉の力を伸ばしていって下さい。(2010年11月13日)

学校と家庭の役割と連携

田口知子

 バザーは、補習校の日々に潤いと活力を与えてくれます。低学年児童は、朝からそわそわするほどで、子供たちにとってはとても楽しみな一日です。保護者の皆様には、子供たちのために、また補習校の財政援助のために、バザーを運営してくださり、感謝しています。毎回、保護者の皆様のパワーを実感する補習校活動の一つです。子供達が、良き教育環境の中で、のびのびと学び、育っていくように、これからもご協力のほど、どうぞよろしくお願い致します。 家庭と補習校の連携は、補習校教育の根底を支え、子ども達の教育効果に直結します。よく言われるように、家庭は、第二の学校で、保護者が先生です。国語と算数、数学の学力アップは、土曜日の補習校の学習だけで実現することはできません。補習校からの宿題を中心に、予習(音読)や復習を地道にこなしていくことが重要です。子どもにとって、勉強とは、面倒で難しいものです。そこで、勉強に対して、前向きな気持ちを引き出し、習慣づけていくことが大切です。これは補習校と家庭の共通の使命ともいえます。しかしながら、勉強とは、学習者が一方的に与えられるものとは限りません。私自身、授業をしていると、生徒の気づきにはっとさせられることがあります。

 例えば、小1の児童にカタカナを指導した時のことです。シとツを正しく書けるように、シは平仮名のし、ツはつの形になるように書くとよいことや、シの三画目は下から上に、ツは上から下にはらうということを説明しました。すると、一人の児童が「点がそこにあるから、そのままのばして書けばいいね。」と言いました。教わった知識が、頭の中でカチっと理解できるとは、こういうことなのかと、感心しました。私自身は、当たり前すぎて、考えもしなかった説明に、子どもに一本とられました気がしました。

 教室学習の良さは、みんなで学びを深めていける点と友達と一緒にがんばれる点にあります。カタカナの授業では、食べ物やスポーツの名前を20個集め、指で空書きをして、ノートに写した後で、声に出して読む練習をしました。書かれた言葉の順や、ランダムに先生が指す言葉の順に読んだり、全員または一人ずつ順番に読んだりしました。最後は、一人読みです。しかし一人で読むのは勇気がいります。そんな時は、一人読みができた友達を指名して横に来てもらって、二人組になって読みます。組毎に発表してもらうと、一人では声が出なかった児童も、一生懸命、声を出してがんばります。見ていて感動します。教室学習では、自分もなんとかがんばってみようという気持ちにさせ、がんばれたという達成感をたくさん味わわせてあげたいと思います。

 高学年の数学のクラスでは、こんなこともありました。証明問題の過程が穴あきになっている問題は、基本レベル、その過程を見ないで自力で解けたらステップアップレベルと言って問題を渡すと、律儀にヒントを手で隠してしばらく考えていた生徒が「わかった」と言って、解き方を口頭で説明してくれました。「お見事。正解。」と言うと、すかさず「勝った」の一言が。先生の出す問題にチャレンジする、こんなことからでも、次への意欲につながっていけばよいと思います。家庭学習にも使えそうな手です。

 教室でしかできないことと家庭でしかできないことがあります。家庭と補習校がそれぞれの役割をきちんと果たしながら、子供たちを導き、見守り、応援していきたいと思います。(2010年11月27日)

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