補習校便り 2011年6月

補習校だより 2011年6月

低学年の学習について

田口知子

 日本では特に小1,2年の授業時数が、大幅に増えました。国語は計算上、一週間に8時間から9時間になり、一日に2時間ある日も多くなります。これは、低学年の間に「話す・聞く」「書く」「読む」のそれぞれの言語能力をしっかりと身につけておくためです。低学年では、平仮名カタカナ漢字(小1で80字、小2で160字)と覚えることがたくさんあります。「読むこと」の言語活動例では、「物語や、科学的なことについて書いた本や文章を読んで、感想文を書く」ことが新しく入り、物語だけでなく、科学読み物などの説明文系統の文章についても、感想が書けるように学習します。

 算数は小2では週4時間から5時間に増えます。学年間で学習内容を重複させ、繰り返しながら、少しずつ内容を発展させていきます。例えば、「2けたの足し算ひき算」は小2からだったのが、小1の発展学習として「簡単な2けたの計算」と取り組み、小2で本格的に学習します。小3から学習する分数と小数は、小2で「2分の1、3分1」という簡単な分数を学びます。時刻の読み方も小2から小1に移行しました。低学年の時に算数が好きでも、高学年になるとだんだん嫌いになる傾向があります。複雑な計算や考えることが面倒になることも一因でしょう。算数は、言葉や式・図・表・グラフなど、表現の手段がいろいろあります。それらを使って、考えたことや分かることを言葉で説明したり、教え合ったりする学習を楽しく続けて行くためには、日頃から言葉の力を磨き、きちんとした学習習慣を身につけていくことが重要です。(2011年6月4日)


Hollies schoolのジャパンウィークに参加して

田口知子

 今週、Hollies school(児童数70人ほどの養護学校)で、ジャパンウィークが開催されました。昨年は、日本人会の支援で校内に日本庭園が完成しました。今回、ジャパンウィークについての相談を受け、日本人会事務局中心に、プログラム内容を練り、準備を進めてきました。これはウェールズ日本人会が行う(Corporate Social Responsibility)活動の一つです。Hollies schoolではこうした異文化体験学習が、ときどき行われるそうですが、ジャパンウィークは初めてです。

 「年度の終わりに、こうしたプログラムがあると、子供たちが楽しく、興味をもって学習と取り組むことができるので、とても貴重な機会だ。」と副校長先生がおっしゃっていました。ホールの上部には、日の丸が一列模様を作り、その下に着物やはっぴ、ネットからとったイラストや日本語の数字が展示され、ジャパンウィークらしい雰囲気ができていました。

 ホールに子供たち(6歳から11歳まで、座ってお話が聞ける児童たちが約20人)が集まってきました。何人かが「おはよう」と挨拶。事前に練習していたようです。そこで「こんにちは」の言葉を紹介し、みんなで大きな声で挨拶して、お話に入りました。最初に、補習校の児童からのプレゼントを披露しました。折りヅルは135個。保護者の皆様もご協力くださりありがとうございました。100個ほど四本の糸でつなぎ、残りも一緒に千代紙を貼った箱に入れておきました。代表の児童に糸の上の部分を引っ張ってもらって、色とりどりの折りヅルがスルスルと箱から出てくると、歓声があがりました。これを壁にかけて、次に二つ目のプレゼントであるお習字(児童のメッセージつき)を貼った大きな紙を広げて見せました。

 そして地球儀の登場です。最初に日本と英国の位置を聞くと、高学年児童が前に出てきて指さしてくれました。「飛行機で何時間か」の質問に一人の児童が「12時間」。「一番大きな都市は」に、複数の児童が「東京」。ものおじせず、反応が良いので、クイズ式の話をスムーズに続けることができました。

 日本には小さな島を合わせると4000もの数があることに、先生たちもびっくり。日本とイギリスの大きさ比べをした後、北海道、本州、四国、九州の4つの島をかいた地図を見ながら、北海道のツル、クマ、しまりす、奈良公園のシカを紹介。野生のクマが出る話に「ええー」、じゃがいもの花が咲いた広々とした北海道の畑も意外だったようです。富士山、日本アルプス、東京の高層ビルの風景に続いて、お城や興福寺、金閣寺、長崎の教会、大仏、舞子の写真を見せながら話をして、地図に貼っていきました。最後に四つの島をばらばらに切った物と白地図のコピーを、4セット渡しました。島を地図に貼り、絵や説明など自由に書き込みができるようにと用意しました。「完成したらホールの壁に展示しようね」と先生。最後に「日本のお金はどんなの」と質問が出て「調べてみようね」とさらに先生が続けます。こうして45分ほどの話が終わり、昼食前に副校長先生が教室を案内してくださいました。一人の児童が「Bonsai」の本を持ってきて、ページをくりながら見せてくれました。先生に手をひかれて食堂に行きながら、思い出したように戻って来て、私の手にチュッとキス。人なつこい歓迎に胸が温かくなりました。

 火曜日はソーン先生のお習字、水曜日はカーディフ大の学生の日本体験話、木曜日はプリチャード美登里さんの折り紙教室、金曜日はHollies schoolの児童による空手のデモンストレーション、末寛子さんの琴と地元のストーリーテラーによる日本昔話、日本庭園ではレストラン「イチバン」が準備した日本食の試食会と、もりだくさんの内容です。日本人会理事長のご挨拶もあります。

 補習校の子供たちにも、現地校で日本文化を紹介する機会があれば、積極的に取り組んでみてほしいと思います。きっと日本人としての自覚と誇りを感じる機会になるはずです。(2011年6月18日)


運動会の後で

田口知子

 先週は幸い天候が回復し、楽しい運動会になりました。各役割を担当してくださった日本人会や保護者の皆様、競技にご参加くださった皆様に、心よりお礼申し上げます。子供たちも日本の運動会を心から楽しんでいました。

 帰りがけに、小5の女子から「運動会で何が一番よかったですか」と質問を受けました。宿題で運動会新聞を作ります。新聞作りは小4で学習し、今年度より小5,6年で「編集の仕方や記事の書き方に注意して新聞を読む言語活動」が入りました。中3教科書にも「メディア社会を考える」という文章の中で、「文字の読み書きを学ぶように、メディアの読み書きを学ぶことで、これからのメディア社会を切り開いていってほしい」とあります。小学校段階から新聞を使った学習をすることで、物事にはいろいろな側面や見方があることを知り、情報を吟味する力や考える力を養います。

 明治大学文学部の斉藤孝教授は、「記事を切り取り、メモを書き、人に要旨・コメントを話す訓練をすることで、論理的に考えをまとめる力や表現力が身につく。また親子の対話の時間も増え、共通の話題も増えていく。」と述べています。新聞学習は学力向上につながります。

 さて、小5の質問に対する私の答えは「一番よかったのは、天気に恵まれたこと。次に、大人も子供も一緒に楽しめたこと。」どんな新聞ができるでしょう。(2011年6月25日)

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