補習校便り 2011年10月

補習校だより 2011年10月

文集作文の題材さがし

田口知子

 今年の文集のテーマは「記念」です。先週小五の授業で、テーマが「記念」に決まったことを告げると、どうもピンとこない様子。「まだ11年間しか生きていないのに、記念日と言われても・・」最初からすごいコメントが出てきました。ほほえましくもあり、それでいて子供たちからどんな題材を引き出せるか、指導者の姿勢が問われているような気がしました。「家族の記念日ではどうでしょうか。」と質問を続けると、「おじいさんがこの間80歳の誕生日で、みんなで集まったんだよ。」「一月一日とか、十二月二十五日のような日でもいいんですか。」と、アイデアが広がり始めました。「もちろんですよ。初めて何かができた日も、記念日になりますね。」と言うと少し考えてから「自分が生まれた日って、どうなんだろう。」「いいですねえ、お家の人にインタビューして、それを書くのもいいですね。」自分が生まれた日について、改めて家族に聞く機会は、なかなか無いと思います。自分の誕生を家族がどんなに喜んでくれたか、家族から話を聞くことで、家族の愛情を感じ、感謝の気持ちを抱くことでしょう。

 記念日というと、私は俵万智さんの短歌本「サラダ記念日」を思い出します。「この味がいいね」と君が言ったから七月六日はサラダ記念日、という短歌で一躍有名になった本です。会話を導入した新感覚の口語短歌が、当時の話題を集めベストセラーになりました。20年以上前も前のことです。児童にこの短歌を紹介すると「何それ」といった顔をしています。そこで「ボーイフレンドにサラダを作ってあげたら、おいしいと言ってくれて、それがとってもうれしかったので、その日を記念日にしたということよ。記念日は自分で作ることもできますね。」「じゃあ、初めてイギリスに来た日」「学校でも記念日があるでしょう。創立記念日とか。国の記念日として、終戦記念日があるでしょう。」「子供の日もね」と、アイデアがさらに広がりました。「10年後の自分にあてて、手紙を書くのもいいですよ。」「その時、私は20歳だあ。」このように20分ほど題材捜しのプリントを使ってブレーンストーミングの時間をとり、家でも一週間考えてくることを宿題にしました。
 作文は、題材が命です。心に一番強く残っている体験を通して、自分が感じたり考えたりしたことを、しっかりと伝えましょう。ご家庭でもお子様の話をたくさん聞いてあげて下さい。興味を持って聞いてくれる人がいると、人は誰でも饒舌になります。さて子供たちからどんな題材が出てくるでしょうか。作文指導の一番楽しみな部分です。(2011年10月8日)

漢字への興味づけ

田口知子

 漢字はなんと論理的にできているのだろう、と感動したのは、中1を担任した時のことでした。滞英年数が長くなり、漢字に四苦八苦する生徒達を前にして、少しでも漢字が頭にインプットできるようにと、漢字の成り立ち辞典を手にとりました。例えば滑るの漢字に、なぜ骨がついているのか疑問でしたが、骨は自由自在に動く意味があり、水で潤って動きやすいから「滑る」という成り立ちを知った時、漢字の世界が大きく広がった気がしました。

 物の形や絵からできたのが、象形文字で、それらが互いに結び付いて、あわせ漢字ができたということを知識として知っていても、家の中で子どもが生まれるように、増えていくので、字という漢字ができたという成り立ちを知ると、なるほどと漢字の論理性に感心します。

 小学校で習う漢字は、学年別配当表で決められています。小1は80字、小2は160字、小3と小4は200字、小5は185字、小6は181字です。この内、あわせ漢字の比率を見ると、小1は34%、小2は66%、小3は87%と、低学年で習う漢字が漢字を構成する基本になっていることが分かります。ですから、低学年の漢字は、書き順を含めてしっかりと覚えておくことが重要です。漢字は、何回も手で書いて覚えるしかありませんが、機械的に覚えるのではなく、新出漢字では例えば「どんな漢字が隠れているかな」からスタートします。すると、先日小5の児童の方から「損にはどうして貝がついているのかな」迷うの字では「ナゾ(謎)ってそんな字がついていなかったかな」という声が出てきました。無味乾燥な漢字学習が、おもしろくなる瞬間です。その時は益という漢字も学習しました。益には、なぜ皿がついているのでしょう。皿の上の部分は水を横向きにした形で、皿から水があふれる様子だと知って、これまた感嘆しました。漢字には漢字を発明した昔の人の知恵がいっぱいつまっています。

 版という漢字は小5で習います。反は小3、片は小6で習います。漢字は必ずしも簡単なものから登場するとは限りません。反はそりかえるという意味があるので「そりかえる木で板、そりかえる土で坂、進んでもどって返る、米粒が口の中でそりかえる飯、物を売ってお金がもどる販売」と、復習予習含めて仲間の漢字を一気に紹介してしまいます。能を学習したら、ねばり強い力があるプラス足で熊、プラス心で態度を紹介します。言葉で区別する知識、糸を区別して織る、耳で聞きわけて仕事する職業。識、織、職が登場する度に仲間の漢字を繰り返すことで、漢字が体系的に頭にインプットされることを期待しています。

 ご家庭で漢字の勉強をする時は、お子様を漢字嫌いにさせない工夫が大切です。漢字嫌いは、読書嫌い、宿題嫌い、音読嫌いにつながります。ご家庭でも漢字のおもしろ話や漢字遊びなどで、漢字の学習へ興味を持たせてあげて下さい。漢字は大人にとってもおもしろい発見があります。 (2011年10月22日)

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