補習校便り 2011年11月,12月

補習校だより11月12月

子供たちの可能性を信じて

田口知子

 経済開発機構OECDが実施する国際学習到達度調査PISA(15歳生徒が対象)の大人版ができたそうです。国際成人力調査PIAAとよばれ、対象は16歳から65歳までの大人です。この秋に日本各地で無作為に選ばれた六千人が挑み、成績は二年後に発表されるとか。紙の試験で、どこまで成人の内面的な素養や能力を測れるのか、また文化背景の異なる国同士の比較にどんな意味を見いだせるのか、疑問はあるものの、試験問題や結果に興味がわきます。
OECDの教育政策顧問のシュライヒャー氏は、日本型人材について、手本のある仕事なら得意だが、前例がないと二の足を踏む、自分と同質な集団には溶け込むが、異質な人々との協働は怖がる、提案力に欠けると分析しています。そしてこれからの海外市場が求める人材は、知識量の多い人材ではなく、異質な人々と難題が解決できる人材だと語っています。大人版PISAにつぐ第三弾として、大学生の卒業間際の学力調査。「どこかの国が抜きんでた授業法を編み出しているはず。教える力の比較こそ私の夢だ」と教師対象の第四弾まで、その壮大な構想には驚かされます。

 そして今度は、橋下徹氏が大阪府知事を辞任する前に発表した大阪府教育基本条例案のニュースです。教育目標は、「グローバル社会を勝ち抜く世界標準で競争力の高い人材を育てる」この目標に沿う具体的な指針が、府教委から三つ示されました。それは、「難関大への進学者増」「英語力の向上」「ディベート力の強化」です。日本は戦後、政治と教育は切り離して政治的中立を維持してきました。この話が今後どう発展するのか、目が離せません。

 最近は、このように教育外の世界からいろいろな話題が発信されますが、補習校の子供たちを見ていると、時代のニーズに応えて、子供ちが着実に育っているという手ごたえを感じます。例えば、先週ご紹介した星啓太君の先輩インタビューの記事を読んでその思いを強くしました。補習校の子供たちは、今は現地校と補習校の両立に苦労しながら勉強していますが、将来きっとそれが生きて働く力になると信じています。日本の教育は知識偏重型から、知識の活用力や考える力、他者とのコミュニケーション能力の育成を重視する方向へと動いています。二つの文化と言葉の世界を持つ補習校の子供たち。将来どんな大人に成長するか楽しみです。時には思うように勉強が進まず、いらいらしたり不安になったりすることもあると思いますが、子供たちの可能性を信じて、成長を応援し見守っていきましょう。(2011年11月5日)


すきま時間の利用

田口知子

 新入、転入の際にお配りする本校の「補習校案内」に、必修課題に要する家庭学習の最低目安について記載しています。国語の場合、小1は毎日15分程度(1週間で2時間程度)小2,3年は毎日20分程度(1時間で2時間~2時間半)小4~6年は毎日30分程度(1週間で2時間半~3時間)。コンプリに進級したら、現地校の学習との兼ね合いを考え、計画的に学習を進め1週間に2~3時間は確保してほしいと思います。学習は、毎日少しずつ継続するのが、望ましいです。毎日日本語に触れることで、言葉の感覚を常に良い状態に維持することができます。毎週出る基本的な宿題は、漢字と音読と作文(日記)で、時にはワークの練習問題や書き写し、語句調べなどが加わります。

 作文のように重い宿題は日曜日にすませ、平日は音読などの軽い宿題をする、というのも無理なく続けられる良い方法だと思います。また宿題はやりっぱなしにせず、返却後は算数や漢字のミス直しをする習慣をつけておくとよいです。その場合は、書けなかった漢字や間違った計算問題を、お家の人が書き抜いてミニテストのような形にしておいてあげるとよいでしょう。こうすることで、子供のできていない点も把握することができます。

「勉強しなさい」「宿題はしたの」と言うのは簡単ですが、子供の意欲を損なっては逆効果です。子供に何かをさせたい場合は、ひと工夫、必要です。教室学習でも家庭学習でもこの基本は同じで、教育的で効果的な言い方やさせ方を工夫したいものです。最近、こんなお話を聞きしました。漢字直しリストを作ってテーブルに置いておくと、帰宅したお子さんがお茶を飲みながら、ちょこちょことやっていたそうです。「チリもつもれば山となる」です。高学年になれば、現地校と補習校の両立が大変ですが、親子の共同作戦で、学習の効率化を進めるいけるとよいと思います。(2011年11月19日)


良いお年を

田口知子

 二学期の最終日をむかえ、お子様同様に、保護者の皆様もほっとされていることでしょう。今学期、お子様が元気で通学できたことが何よりです。お家の方からも、お子様ががんばった点をほめてあげて下さい。そして、通知表を見ながら、お子様と一緒に今学期の振り返りを行っていただけますようにお願い致します。三学期は一年間のしめくくりと進級の準備をする大切な学期です。そのためにも、冬休みをぜひ有効に活用してほしいと思います。

 いつもの宿題に加え、読書や自由学習(書き写しや漢字の復習、日記)に積極的に取り組んでみるのもよいでしょう。高学年は、調べ学習などの発展的な課題に取り組んでみましょう。担任の先生から具体的なテーマが与えられている場合は、ご家族で一緒に情報を集めたり、話し合ったりしていただければ、より内容が深まると思います。せっかくの長期休暇ですから、何か目に見える成果を残せるとよいですね。

 ご家族の皆様で、楽しい冬休みをお過ごしください。そして、すがすがしい気持ちで新年をむかえられますように。年明けに、元気でお会いしましょう。(2011年12月10日)

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