補習校便り 2012年4月

補習校だより 2012年4月

入学進級おめでとう

田口知子

 小学一年生、中学一年生の皆さん、今日はご入学おめでとうございます。小学一年生の皆さんは、今日から日本の学校の勉強を始めます。三月の体験入学の時から、補習校に通う日を、わくわくして待っていたことでしょう。これから、クラスのみんなや、上級生のお兄さんお姉さんたちと一緒に楽しい時間を過ごしましょう。

 中学一年生は今年度は田中君一人ですが、今日から中学生の仲間として共にがんばっていきましょう。これからの中学校生活は、小学校の半分、三年間しかありません。小学校での経験をさらに広げ、これからの三年間を大切に過ごして下さい。海外で現地校に通いながら、日本の勉強を続けていくことは、大変なことですが、がんばったことは、自信につながります。先生たちみんなで応援しています。

 ところで、補習校で学ぶ良さとは、何でしょうか。それはまず日本語で勉強ができることです。日本語で自分を表現できる力を伸ばしていきましょう。次に、いろいろなお友達と一緒に勉強ができることも、補習校の良さです。教室ではまちがえることを恐れず、勇気を出して発表をしましょう。そうすることで、お互いに学び合うことができます。三つ目に、補習校には立派な図書室があります。毎年新しい本が入ります。皆さんにはたくさんの本と出会ってほしいと思います。本を読むことは、楽しいことです。そして、本は皆さんにいろいろなことを教えてくれます。

 ここで一冊の本をご紹介します。サッカー選手の長友佑都さんが書いた「日本男児」という本で、本の印税は全額「東日本大震災」の被災者のために寄付されるそうです。長友選手の出身地は私と同じ愛媛県で、しかも隣町ですので、長友選手の活躍がとてもうれしくて日本に帰国した時に購入しました。この本を読んで、長友選手にも体の不調などいろいろな苦労があったことが分かりました。

 本の中で長友選手がこんなことを言っています。「大きな目標を設定し、そこに向かうための道程を逆算し、今日やるべきことに100%取り組む。今日がんばらなければ明日はない。誰にも負けない努力をしてきた自信がある。」

 皆さんも、新年度の初めに、目標を設定してみませんか。例えば漢字をがんばるといったおおまかな目標ではなく、間違った漢字は五回ずつ書く、といったように具体的に取り組む目標にするとよいです。(2012年4月14日)


感動体験の重要性

田口知子

 長期休暇の後は、児童生徒から自主学習やプロジェクト学習(調べ学習や創作など)の成果が見られるのが楽しみです。例えば漢字をびっしりと練習したノート、旅先でも書き続けた日記帳などです。先週の朝会で、これらのノートを紹介した後、展示コーナーに置かせてもらいました。すると中休みと昼休みに、児童たちが、熱心に旅日記を見ていました。旅先で食べたハンバーガーなどの絵が見事で、目がひきつけられたようです。
 先日、東京で小学校教師をしている教え子から、久しぶりにメールが来ました。1993年から約三年間補習校に在籍していた生徒です。今年初めて小6の担任となり、とてもはりきっています。私はその生徒を小6で担任したのですが、その頃から文章やイラストをかくのが好きで、生徒新聞を創設したほどです。そこで、この機会に「先輩インタビュー」の記事をお願いしましたら、さっそく書いてくれました。(補習校のホームページに「先輩インタビュー」のコラムがあります。)

 その記事の中で、「ウェールズにいる時に、何か特別なことはしましたか」という質問に対して「ウェールズにいる経験だけでも特別ですよ。あと結構イギリスや、近隣の国を回っていろいろなものを見せてもらった経験があります。そういう経験って、後からすごく役に立つのです。」と答えていました。感性豊かな子ども時代に、見聞したことは、しっかりと心に刻まれているようです。

 これから、ご家族で出かける機会が多くなり、子ども達もいろいろな感動体験ができることでしょう。心に残る出来事や感動体験は、ぜひ記録に残していってほしいと思います。写真やチラシなどを貼ったり、言葉や絵をかいたり、無理なく楽しくできる方法を工夫してみて下さい。それを基に、後で家族新聞や作文にまとめることもできます。  「勝負脳」をキーワードにした著作の多い林成之医師が、脳神経の観点から「感動しないと脳は鈍る」と言っています。脳にとって、人の話を聞いたときや新しい知識に触れたときなどに、素直に「すごいな」と感動することが非常に大切なのだそうです。感動し、気持ちを動かすことができると、判断力と理解力が高まります。つまり「感動する力」が、脳をレベルアップさせることになるのだそうです。

 どこかに出かけた時こそ、新しい出会いと発見をする絶好のチャンスです。すごいな、珍しいなという感動が、歴史や地理、社会、自然へ目を向ける一歩になります。学習能力は、好奇心や探究心、柔軟な感性によって支えられています。こうした部分が、もっと知りたいという知識欲や向学心を伸ばしてくれます。日々、子どもの勉強を見てあげなくてはいけないと、義務感だけで動いていると、途中で息切れしてしまいそうです。学びの基本は、新しい物に出会って、感動したりおもしろがったりすることです。大人も子どもと一緒に、新しいことを知る楽しさを大切にしたいものです。学びのチャンスは、意識していれば、どこからでも見つけることができます。これからいろいろなことに取り組み、日々の感動を大切にしながら、親子で学びの世界を広げていけるとよいと思います。 (2012年4月28日)

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