補習校便り 2012年8月,9月

補習校だより 2012年8,9月

2学期の始まりに

田口知子

 今日から2学期です。お子様方は、どんな夏休みを過ごされましたでしょうか。子ども達から、どんな成果を残すことができたか、教えてもらえるのを楽しみにしています。

 私の夏休みは、現地採用講師研修会からスタートしました。今回で24回目になる本研修会は、文科省からの派遣教員がいない校が幹事校となり、年一回二泊三日の予定で開催されています。参加経費の補助は外務省から受けています。今回はマンチェスターで、「個人差のあるクラスでの書く指導・支援の手立て」をテーマに、開催されました。講義、各校の実践報告、学年部会別に指導案作りをする演習、模擬授業と、例年通り内容の濃いプログラムでした。二日間情報交換や討議に集中し、研修に専念できるのですから、大変恵まれた機会です。何より補習校教育に日夜奮闘する他校の同志の先生方に会うことは、とても刺激になり、新たな活力を与えてくれます。来年度はヨークシャーハンバーサイド校が幹事校になります。

 研修アンケートの提出と研修会の報告書をまとめた後は、楽しみにしていたオリンピック観戦です。今回は子ども達に、大人の自由研究を見せたいと思い、私もオリンピックをレポートしてみました。私はもっぱら、インターネット生中継で観戦していましたが、何といってもリアルタイムで見ることができたのが、良かったです。選手達の活躍に感動し、新しいこともいろいろ知ることができました。この後のパラリンピックも楽しみです。パラリンピックは英国が発祥地です。提案者は戦時中英国に逃れて来たユダヤ系ドイツ人の脳外科医で、先週、そのドラマがテレビで放送されていました。パラリンピックのマスコットの「マンダビル」という名前は、その病院のある地名にちなんだものだと知り、マスコットに親しみを覚えました。

 夏休み最後のイベントは、補習校のサマースクールです。今年の参加児童は6名でしたが、子ども達の楽しそうな表情がうれしかったです。2学期から転入される新井さんご家族や、町会議員に当選された島崎氏、短期英語留学中の中野先生、学校参与/運営幹部の松井先生にもお出でいただけた点も、うれしいことでした。絵具を使った絵手紙、調理実習、スポーツに取り組みました。ご協力くださった保護者の皆様、本当にどうもありがとうございました。

 夏休みの成果はぜひみんなで共有しましょう。夏休みを振り返ることで、気持ちの区切りをつけ、新たな学習意欲を広げてほしいと思います。(2012年8月25日)

いろいろな夏休みの成果

田口知子

 夏休み明けの初日、夏休みの成果がたくさん集まりました。朝一番に提出された物は、さっそく担任が朝会に持って来てくれました。夏休み中、毎日家族のために用意した朝食を写真入りで記録した「朝食日記」、夏の思い出を描いた絵、テーマを決めて取り組んだレポートなど。朝会の後、教室で提出された夏休み新聞も力作ぞろいで、休み時間に、高学年の先生方が、うれしそうに報告して下さいました。読書一万ページ、二万ページを達成したと言う児童もいました。夏休み中、思い切り好きな時間を過ごせたことで、しっかりと充電できたようですね。子ども達の表情には、満足感に加え、自信やたくましさも感じられました。みごとな日焼け顔は、日本で毎日元気に遊べた証拠。子ども達の元気な姿が、何よりもうれしい初日でした。

 教育家の岸本裕史氏は、生きる力として次の三つを基礎的な能力としてあげています。第一に基礎的な体力・運動能力、第二に感応表現能力、第三が基礎学力です。

 一に体力、二に感性、三に学力というのは、そのとおりだと思います。まず体力は、一定の勉強時間を維持する上で重要です。すぐに疲れて飽きてしまっては、最後までがんばってやりとげようとする気力も、育ちません。  次に、豊かな感性とコミュニケーション能力は、好奇心や学ぶ楽しさを引き出してくれます。教室や家庭での学び、読書や旅行、友達との遊びなど、あらゆる体験が、想像力を豊かにし、自分の世界を広げ、感性を豊かにしてくれます。自分の好きな分野や興味を持った学習は、進んで取り組めるものです。調べたり学んだりすることに、興味関心が持てるように、学校や家庭で、いろいろな「出会い」をお膳立てしてあげたいと思います。

 最後は、基礎学力である読み書き計算能力。思考を深めるのは、言葉の力ですから、学習訓練をしないと言葉の力は伸びていきません。漢字と語彙の知識を増やし、表現の幅を広げていきましょう。計算力は、自分の身の回りの世界を論理的に科学的に理解する力につながっていきます。

 こんなふうに考えれば、独自の工夫で取り組む夏休みの自主学習(自由研究)には、様々な力を育ててくれる芽がたくさんつまっています。例えば一つのことを根気強く続けることで、忍耐力が育ちます。工夫して新しいことに取り組むことで、創造力や考える力が伸び、段取り力も身につきます。友達がどんなアイデアを、どんな方法でまとめているか、見せてもらうのも楽しいでしょう。「今、最後の仕上げをしているところだ。」と言う人もいるようです。これからしばらくの間は、夏休みの成果を共有できるように、朝会で紹介したり、掲示・展示したりするようにします。(2012年9月1日)

学期初めの出来事から

田口知子

 短期英語留学中、補習校にも何度かお出でくださった中野先生が、ご帰国前にお便りを下さいました。小学校教師を停年退職され、心底子ども好きのようで、運動会の応援や、サマースクールのスポーツなど、子ども達と一緒にいる時の中野先生は、いつもとても楽しそうです。今回は小3と小5のインタビューの学習にもご協力下さり、放課後の教員研修会での懇談も有意義でした。中野先生との交流は、学校参与の松井先生を通して生まれました。松井先生のお声かけと中野先生のご好意に、深く感謝します。

 話は変わり、先週は遠足でディーンヘリテジセンターに行きました。今回は諸事情により12名が欠席し、参加者は34名でした。引率の大人は9名で、ボランティアとして保護者のスマートさんがご同行下さいました。この場を借りて、お礼申し上げます。バスの中では、クイズや歌のゲームをしました。景品つきのクイズは、行きはオリンピック、帰りはディーンヘリテジセンターをテーマにしました。子ども達はミュージアムで見た物をよく覚えていて、感心しました。例えば、ディーンの森で発見されたビーバーの骨や、炭焼きの他に、石炭採掘の展示物があったこと。ビクトリア時代の小学校の教室の様子もよく見ていました。それから、センターで飼っているうさぎやフェレットの名前の札にも、目をとめていました。夏休み中の下見の時には、二頭の豚(オーチャードピッグという珍しい伝統種)が小屋の外に出ていて、飼育員に名前を呼ばれると近づいていって背中をなでられていましたが、今回は小屋の中でゴロンと横になって寝ていました。フェレットも巣箱にこもっていて姿が見えませんでした。他には水車や防空壕などもありました。

 帰校して子ども達に何が印象的だったかと聞くと、つり橋とかトラムパークで遊んだことと言っていました。お土産を選ぶのも楽しかったようです。私は、係の人がビクトリア時代のお菓子屋の店員の服装をして迎えてくれたのが、印象的でした。天気が良くピクニック日和で、トラムパークで遊ぶこともでき、充実した一日でした。(2012年9月8日)

漢字学習の大切さ

田口知子

 漢字は、国語の学力の基礎です。語彙の多くは漢字の熟語でできているので、漢字力が無いと語彙が広がりません。

しかし、漢字の学習には時間がかかります。日本の学校現場でも、「漢字をじっくり指導する時間がない」、「漢字に時間を費やしていては、他のことが指導できない」という悩みを聞きます。補習校の子ども達にとっては、漢字を目にする機会が無い学習環境も不利です。そこで今年度は漢字指導を研修テーマに、情報・意見交換しながら、授業や宿題の検討会を続けています。

 カタカナ及び低学年の漢字は、漢字の部分や部首を構成しますから、手が抜けません。ご家庭で毎日最低10分は、練習が必要です。鉛筆を持たせるまでに時間がかかる、という声もよく耳にします。そういう場合は、ドリルを横に置いて、机やお母さんの手の平に、指で三回書かせてみます。こうした遊び感覚の指書きも学習効果があります。

 指書きの次はなぞり書きです。お手本の上から、ゆっくり丁寧に、Bか2Bの鉛筆を使って、しっかりとした筆圧で濃く書きます。この時、書き順を「イチ、ニー・・」はらう部分は「サーン」と声を伸ばしたり、とめる部分は「サン、トメ」とか「サン(ンを強く)」のように、言い方を工夫するとよいです。なぞり書きは、書写の訓練だけでなく、漢字の覚え方や漢字の学習方法を身につける効果があります。漢字の学習には、手間と時間がかかりますが、慣れるまでの辛抱です。なかなか漢字が覚えられなくても、あせらずに、規則正しく学習を続け、量をこなしましょう。

 何かを覚える際は、五感を使うと効果的だとよく言われます。漢字も同様で、目と指だけでなく、口で「イチ、ニー」と画数を唱えたり、女という字なら「クノイチ」と分解して唱えるとよいです。大人が唱えるのを耳で聞くのも効果的です。なぞり書きの次は、お手本を見て書きます。写し書きには、細かいところまでよく見る力や集中力、忍耐力を伸ばす効果があります。最終目標は、お手本を見なくても書けることです。お子様がどの段階まで到達しているか、見極めながら、漢字の学習を進めて下さい。

7月の現地採用講師研修会で、奈良先生と稲垣先生が本校の漢字指導の取り組みについて、実践報告をしました。発表の最後に「漢字学習によって期待できることは、本や新聞が読める、語彙が豊富になる、表現の幅が広がる、そして、知識が増える喜び、練習で培われる忍耐力、知ろうとする意欲、学ぼうとする姿勢が育つ。」としめくくりました。漢字の学習は、学力アップに直結します。

 低学年では漢字を書く基本を固めること、中学年からは分かる語彙を増やすこと、高学年ではその語彙を使って短文が作れることを目標に、漢字の学習を進めています。時に漢字の成り立ちなどの話もしながら、漢字への興味と学習意欲を育てていきたいと考えています。また、漢字が苦手な児童生徒への手立てなどについても、教師同士で考え合い、より効果的だと思われる指導方法があれば実践していく予定です。(2012年9月15日)

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