補習校便り 2013年4,5月

補習校だより 2013年4,5月

入学進級おめでとう

         田口知子

 ウェールズ補習校にとって32回目の入学式を迎えました。小学一年生と中学一年生の皆さん、ご入学おめでとうございます。日本と英国とウェールズの旗と、ウェールズ補習校の旗の四つが並ぶ入学式は、わくわくしますね。四月は新しい友達や先生との出会いがあり、楽しみです。これから、一緒に楽しく遊んだり勉強したりしましょう。

 今日、小学一年生に入学した人は、9人、中学一年生は7人です。全校生は小中あわせて48人です。小さな学校ですから、他の学年の人ともすぐに仲良くなれると思います。今年も「学び合い」を大切にしていきます。新しいことをたくさん学び、できることを増やしていきましょう。

 さて、皆さんは将来どんなことがしたいですか。中学一年生の皆さんが、「活躍したいこと」という題名で、三月に短作文を書いています。そのいくつかを見せてもらいました。例えばこんなことが書かれていました。「大人の女性の服をデザインして作り、活躍したい」「大きくなったら、車を作りたいと思います。日本語がしゃべれるので、日本人と相談しながら、車を作れたら最高です。」「将来、ニュースキャスターになるのが夢です。今は、その夢を実現させるために、音読や英語を日々がんばっています。今書いているこの文も、将来きっと何かに役立つでしょう。」とてもしっかりした考えを持っていて、感心しました。

 最近、日本にいる皆さんの先輩の一人から手紙が届きました。就職活動に苦労したけれども、デザイン関係の会社に祝職でき、仕事をがんばっているという内容でした。デザイン関係の仕事をするのが夢だったので、私もとてもうれしいです。社会に出ていろいろ感じた中で、イギリスでの経験がかけがえのないものだということを一番強く感じているそうです。たとえ週一回の補習校でも、日本語で学んだことが今の日本語力を作ってくれたと言います。そして、イギリス生活そのものが今の自分を作り上げていて、外国に初めて来た時の感情、英語の難しさ、現地校と補習校の両立など、いろいろな経験が力になっていることを感じる、とその先輩は言っていました。

 勉強が苦しくなると、どうしてこんな勉強をしなければいけないのだろうと、思ってしまうことがあるでしょう。そんな時は、将来活躍したいと思っていることや今持っている夢について、考えてみてください。勉強を続けていくと、どうしたら夢を実現できるか、夢に近づく道が少しずつ見えてくると思います。皆さんの夢は、何ですか。夢が大きくふくらむよう、先生達も応援しています。(2013年4月13日)


大切にしたい楽しい学び

         田口知子

 新年度がスタートしました。本校では、教室内外での学び合いを重視し、「学び合いを通して学習を深める」を教育目標に指導を続けています。今年度は本目標の三年目の総括期になります。他の人の良い点を見つけて、ほめあったり、良い点をまねしたりすることで、みんなが伸びていける学校環境にしたいと思います。入学式の祝辞で、尾上理事長様が、何事も無理だと思わないで、チャレンジしていくことが大切だ、他の人ががんばっている時は、みんなで応援してあげようと、子ども達に語りかけてくださいました。他の人ががんばっている点を応援してあげることも、学び合いです。みんなでがんばろうとする意欲的な雰囲気ができれば、誰もが安心して勉強に取り組むことができます。そうした良き学習環境作りに努めたいと思います。

 補習校の子ども達は、二つの文化に身を置き、いろいろなことを学びながら、進化しつつあります。そんな子ども達は、いつか私達大人を超えていく「国際人のたまご」です。理事長様がおっしゃったこの言葉も心に残りました。補習校の子ども達は、英語と日本語の二つの言語を、生活しながら学び、身につけていっているわけですから、将来に大きな可能性を感じます。

 しかし実際に現地校と補習校の勉強を、バランスよく続けていくのは、楽ではありません。時には、親子で、土曜日が休みだったら、と思うことがあるかもしれません。そんな時は、あせらずに、うまく気分転換をしながら、勉強を続けていってほしいと思います。ご家庭での励ましと手助けが、子ども達にとって大きな力になります。

 補習校では、家庭学習の支援のほかに、運営のご協力もお願いしています。時に会議や行事への参加が続くと、大変に感じられることがあるかもわかりません。そんな時は、楽しむ気持ちが長続きのパワーをくれます。例えば、他の保護者や先生と話をしていて、楽しいと思えたり、またお子様と一緒に教科書を読んでいて、新しい知識に出会って、おもしろいと感じたりできる時間が、次への活力を与えてれると思います。私も、子ども達と一緒に、新しい知識や体験を、楽しむ気持ちのゆとりを持ちたいと思います。
(2013年4月20日)

補校教育の原点

         田口知子

 先週、低学年と高学年の部会別に、教員の放課後研修を行いました。新年度のスタートにあたり、今年度の指導や学習計画などについて、話し合いました。高学年部会の中で、「入学式の中1の誓いの言葉に感動した」というコメントが出ました。堂々と自分の考えを述べる姿は、国内の弁論大会に匹敵し、日本でも一握りの生徒にしか達成できないことだ、高学年のポスターセッションや学習発表会で扱ったトピックは、日本の中学校でも扱うが、まとめ方のレベルが高くて感心したと、日本の現場を知る教師が述べていました。フォーマルな場で、全員に発表の機会がある点は、小規模校ならではの良さです。本校では、国語、算数数学の教科書学習を、こうした発展活動へつなげることで、言語力の他に、発想力、論理的思考力、構成力、表現力、プレゼン力といったコミュニケーション能力を鍛えたいと考えています。

 学習の基本は、読み書き計算ですが、単に漢字が書けて、計算問題が解ければよいというものではありません。身につけた知識と技能を基にして、考えたり説明したり、実際に使いこなすことができなければ、生きた勉強とはいえません。海外にいると、日本の勉強が遅れることが心配だという声を、保護者の皆さんからお聞きすることがあります。確かに補習校の勉強は、授業時数と学習教科が限られますから、日本国内の学校と同等の勉強ができるわけではありません。日本のテストで、特に漢字や読解問題となると、補習校の授業と宿題だけでは不十分で、家庭でワークブックをするなどさらに時間をかけることが必要になります。平日は現地校で英語の勉強をしているわけですから、並行して日本の勉強をするのは、物理的に大変です。

 しかし、学力は、テスト結果など見える学力がすべてではなく、思考力や忍耐力、向上心、といった見えない学力も大切な要素です。普段から苦手なことをあきらめずに努力する気持ちやしっかりした学習習慣が身についていれば、見える学力も伸びます。

 見える学力だけで子ども達を見るのではなく、それぞれの子ども達の見えない学力と長所を伸ばし、自分にもこれはできるという自信を与えることによって、見える学力を底上げし、さらに伸ばしていけるように力を尽くしたいと考えています。補習校の子ども達にとって、海外に暮らすこと自体が生きる力の原動力になっています。感受性豊かな年代に、様々な体験をすることで、視野が広がり、補習校と現地校の両方でがんばることによって、忍耐力が培われます。子ども達の可能性を信じ、教師と保護者とで力を合わせて、子ども達の学習を地道に応援していってあげたいと思います。(2013年5月4日)

 

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