補習校だより9,10月

補習校だより9,10月

 

田口知子

「はだしのゲン」があいつぐ注文に、例年2000冊のところ、今年は一万冊増刷されると報道されていました。
ある市の教育委員会の閲覧制限(昨年末以降、「ゲン」の暴力描写を問題視し、市立小中学校に閉架措置を要請)が論争を巻き起こしたことで話題を集めました。 結果的に制限は撤回され、閲覧は学校に一任されることになりました。
閉架措置の要請は、子ども達に誤った歴史観を与えるとして、市民が市立の小中校から作品の撤去を求める陳情を市議会に提出したことがきっかけだったそうです。
市教委事務局で「ゲン」を全巻読んで、閲覧制限を決定したそうですが、一部の人による独断的な決定、強制ともいえる要請に対して、漫画家協会や教育評論家をはじめ、様々な人達が声をあげ、全国的な論争に発展しました。
新聞投稿欄では、子ども達の声も紹介されていました。
例えば、小5で「ゲン」を読んだと言う中学生は「当時はこの漫画を怖いと感じたが、昔の話だった戦争を身近に感じさせてくれて、当時のことを知ることができた。
若い世代は、戦争のことを知る必要がある。
子ども達にとって、漫画は身近な存在で、戦争を知るいい方法だと思う」
高校生からの投稿もありました。
「親が子どもに読むのを禁止するのは、良いと思う。
自分の子どもの性格を知っているから。
今は戦争を直接知っている方々が減っているので、若者世代が戦争に関する本を読み、戦争の悲惨を伝えていかないといけない。
ゲンが生きた世界は、子どもが経験したもので、貴重だと思う」
母親の声も複数、目にしました。
「20歳の長男が小2の時に、学校から帰って突然ほえるように泣いた。
理由を聞いても一切言わない。 ほえ泣きは三日間続いた。
司書の先生からその日息子が漫画を読んでいたと聞いたが、家族はそっとしておいた。
ゲンが原因だったとはっきり聞いたのは、中学になってからだった。
息子は、自分の価値観に大きな影響を与えた本だと言って、閲覧制限を残念がっている」ヒロシマ出身の主婦は、毎年夏になると小中高で「平和学習」があり、原爆について学び、図書室で表紙がボロボロになった「ゲン」を何度も読んだと言います。
「子ども達が読んで衝撃を受けることがあっても、それだけ平和について本気で考えることができる大人になれると思う。
これを機により多くの子ども達に読んでほしい」「子ども達の判断力も信じたい」と言う声もありました。
海外子女教育財団の教材援助活動に申請する本の希望を、保護者、教職員、子供達から五月に募りました。
その時、保護者から「佐治さんの紙芝居は、原爆について知り、平和について考える貴重な機会になっている。
『ゲン』は漫画だが、平和について学べる本なので、図書室に置けないだろうか」と提案があり、職員会でも検討して、申請本に加えました。
「ゲン」は昨年12月に逝去した漫画家の中沢啓治さんが、6歳の時、広島で被爆し、家族を亡くした体験を基に描いた自伝的作品で、約20か国語に翻訳され世界中で広く読まれています。
「ゲン」は、補習校では白のラベル(赤は低学年、緑は中学年、青は高学年~中学、白は中学~大人)をつけましたが、小学生でも借りることができます。
私は「はだしのゲン」をアニメで見ました。
漫画を読んだのは今回が初めてです。 子ども達に貸し出す前に、4巻まで読みました。
夏休み前に貸し出しをすると、1,2巻だけが借りられていましたので、未読の残り6冊を家に持ち帰り、夏休み中に完読しました。
残酷な描写を見た時はぎょっとしましたが、たくましく生きるゲンの姿にすがすがしい読後感が残りました。
今回、新聞で残酷な描写の例が掲載されているのを見て、そういえばそんな場面があったなと思い出す程度でしたが、小さな子供だったらどうでしょう。
低・中学年のご家庭では、お子様が借りてきた本は、保護者も目にされると思います。
お子様が怖がるようでしたら、無理に読ませる必要はありませんし、保護者が言葉をそえてあげれば安心すると思います。
「はだしのゲン」を図書室に入れた後、偶然、今回の論争が起きました。
結果的に様々の観点から「ゲン」について考えることができて良かったです。
先週の放課後、本棚を見ると、8,9巻だけが残っていました。
お子様が読んでいる様子や保護者の感想やご意見など、機会がありましたら、お教えいただけるとありがたいです。
(2013年9月7日)

 

田口知子

算数数学の計算問題で、ケアレスミスをしてしまうことがあります。
ケアレスミスに対して、効果的な手立ては、確かめ算をすることです。
例えば、方程式の計算問題であれば、その数字をあてはめて等式がなりたてば、それが正しい解であることが分かります。
テストで単純な計算ミスが目立った時に、生徒に確かめ算をしたかと聞くと、確かめ算をした生徒は一人しかいなくて、指導の足元をすくわれた気がして、あわてたことがあります。
テスト結果は、教師にとって指導を振り返る材料になります。 さっそくテストの返却時に、確かめ算を強化指導しました。
テストでは、確かめ算をする習慣をつけておくとよいです。
次に効果的な方法は、ケアレスミスをすまいと自覚することです。
テストの得点に一喜一憂する必要はありませんが、得点がとれるはずの問題でケアレスミスがあった場合は、何点得点を失ったかを伝えます。
これは、悔しく思ってもらうための作戦です。 悔しいと思えば、それだけ記憶に残ります。
教科に関わらず、学力を伸ばす基本として、「覚える」ことが不可欠です。
ケアレスミスをした個所を覚えてしまえば、同じミスをしないように注意できるようになります。
図形の学習では、辺とか直角、平行など聞き慣れない専門用語がいくつも出てきます。
こうした用語も、覚える必要があります。
なかなか覚えられない場合は、用語を壁に貼って目にする機会を増やすなど、親子で工夫するとよいです。
専門用語を知らないがために、点数がのびず、結果的にやる気がうせてしまっては残念です。
また日頃から、ミス直しをしていると、間違いやすい個所が見えてきます。
問題を見ただけで、間違いやすい落とし穴を見抜く力が育ってくれば、しめたものです。
例えば( )の前にマイナスがついているから、符号に注意しなければいけない、といったようなことです。
こうした「気づく」力も学力アップに欠かせません。
なぜ間違ったのか、ミス直しをしていれば、注意してよく見る力が育ちます。
最後に、質問の意味を理解し、言葉で説明できるように、言葉の力を鍛えることも忘れてはいけない点です。
生徒の発想を見たいと思い、テストに「解がx=5になる方程式を一つ作りなさい」という問題を出した時のこと。
シンプルに2x=10のような答えが出るかと思いきや、登場したのは2x+15=6x-5のような解答で感心しました。
生徒に聞くと、2x=10では、答えとしてだめだと思ったのだそうです。
それから、「1000-5x=250になるような問題を作りなさい」という問題も出題しました。
式を見て、文章問題を作る練習は、小1の時から教科書に登場します。
江口校長先生も教育講演会の中で 「バスていに人が並んでいる。 Aさんの前に4人、後ろに3人いる。 全部で何人いるか」 という小1の文章問題を例に出され、算数数学は言葉の訓練になるとお話しされました。
学習は、言葉で考え、理解を深めていくものです。
算数数学でも、問題文を声に出して読んだり、図や絵にかいてみたり、低学年では実際に体を動かしてみたりしながら、言葉の訓練を積み重ねていきましょう。
(2013年10月12日)

 

田口知子

今年の学校文集のテーマは「ゆめ」です。
低学年のクラスでは、題材として「夢のディズニーランド」のようなわくわく体験が多いのでは、と思っていましたが、ふたを開けてみると「大きくなったら何になりたいか」について、書くことにした児童が多かったそうです。
さて、他にはどんな題材が登場するか、楽しみです。
作文力は、書くことでしか身につきません。
普段は、あのねちょうや短作文などで、書く練習を続けていますが、年に一回、時間をかけていつもよりは長い作文を書く練習をします。
まとまった作文を書くことで、今までに習った漢字や語句を実際に使うことができ、正しい文法で文を書く基礎練習ができます。
また、ある程度の長さの作文を書くためには、どんな順番で書けば効果的か、いろいろ考えますから、まとまりや構成を意識して文章を書く練習ができます。
そして、時間をかけて書くことで、一つの物事や体験について、詳しく思い出したり、いろんな角度から考えたりするので、その体験をより深く掘り下げることができます。
時には、書くことを通して、子供自身に新たな気づきも生まれるでしょう。
ですから、作文は、単に日本語の上達をめざすだけでなく、子供の内面的な成長を後押しできると期待しています。
作文によって、子どもの心を知ることができれば、子供と教師、子供と保護者のコミュニケーションも深まります。
教科書学習と平行して、作文指導が始まっています。
発想を広げる題材捜しは終わり、11月中旬までには下書きを終えます。
授業で、書き始めやしめくくり、題名のつけ方などについて学習し、下書きを手直しする際には、どこをふくらませて書けばよいか、具体的な助言をします。
ご家庭でも、担任の計画に従って、ご支援下さるようにお願い致します。
ご家庭では、お子様から言葉を引き出せるように、いろいろな質問をしていただけると効果的です。
会話を通して、子供が答えた言葉をそのまま作文に書いていけば、少しずつ内容をふくらませることができます。
(2014年10月26日)

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