補習校便り 2014年8,9月

補習校だより8月-9月

夏休みの成果

田口知子

 今日から二学期です。楽しい夏休みの思い出がたくさんできたことでしょう。自由研究や自主学習などは、展示・掲示して、良い点を学び合い、学んだことを言葉にして伝え合う機会が持てるとよいと思います。
 私の夏休みは、毎年七月に開催される現地採用講師研修会からスタートしました。今回は北東イングランド校が幹事校となり、7月21,22日にニューカッスルで開催されました。指導講師は、ロンドン補習校とダービー補習校の文部科学省の派遣校長先生です。現地採用講師は外務省から各校、講師一人分の交通費と宿泊費の補助を受け、英国地区の補習校から24名が参加しました。また、研修会の前日20日の夕方に、運営代表者会が開催され、全10校の運営代表(運営委員長、校長、事務)が集まり、行事の運営や組織、クラス定員制度、入学基準など、運営面に関する情報交換を行いました。


 今年の研修テーマは「話す力・聞く力を豊かにする指導、支援の手立て」でした。効果的な授業作りについて講義、実践報告、学年部会、演習と模擬授業を通して、二日間、密度の濃い研修ができました。
 次に、夏休みの読書の話を少し。私は「キンダートランスポートの少女」という本が心に残りました。「キンダートランスポート(子供の輸送)」については、初めて知りました。これはイギリスの宗教団体、慈善団体、個人が、ナチスの迫害からドイツやオーストリア、チェコのユダヤ人の子供たちを守るために行った救出作戦です。第二次世界大戦勃発までの九か月足らずの間に、約一万人の子供達がイギリスなどに送られ、命が救われました。子ども達の両親のほとんどはホロコーストで殺害され、戦後いろいろな地で暮らすことになりました。この本の著者もその中の一人です。これは、10才で両親と別れてチェコから英国に逃れ、自らの選択で英国人になったヴェラ・ギッシングという女性が、当時の日記や両親とかわした手紙をまじえながらつづった半生記です。戦争中、ヴェラさんが通った学校はウェールズのブレコンの小さな町にありました。日記や両親からの手紙は、感性豊かで、深い愛情にあふれ、悲しみを乗り越えて強く生きる姿に、胸が打たれました。後ほど補習校の図書室に置きます。高学年なら「アンネの日記」とあわせて読むのもよいでしょう。親子読書もできそうです。(2014年8月30日)


2学期初日に
田口知子

 二学期初日。子ども達からいろいろな夏休みの成果が集まりました。家族新聞や旅行記、本の紹介、自主学習などです。「これ、いいでしょう。」職員室で担任の一人が、一枚の絵を広げて見せてくれました。それは、海岸で拾い集めた小粒の石を貼って描いた作品でした。透明な石が美しく、夏の海辺が目に浮かぶようです。
 先生方から預かった物は、私がいったん自宅に持ち帰りました。工作のような物もあり、みかん箱がいっぱいになるほどでした。それらの物を一つ一つ見ていくと、中に低学年の子ども達が取り組んだ読書記録や計算練習がありました。計算プリントは、ネットからダウンロードしたらしく42枚ありました。夏休み中の読書記録は12冊あり、一言感想もついていました。
 規則正しく家庭学習に取り組み、遊ぶ時はのびのびと楽しく、メリハリをつけた夏休みが過ごせた子ども達には、心身の充足感があり、これが新学期の学校生活に向かう活力になります。これからも地道に努力を続けていけるように応援しています。
 話はかわり、8月下旬に、全国学力調査の結果が公表されました。平均正答率で都道府県別の順位が出ます。去年、下位だった県では、先生達が長期休暇中や放課後に補習をして、成績を伸ばしたと、ニュースで報道されていました。また今年度から一定の条件をみたせば、自治体の判断で、学校ごとの成績も公表できるようになりました。教育の世界に、競争原理を持ちこむことの是非がよく問われます。得点主義に陥って、評価が画一的になり、子供の良さが見えなくなってはだめですが、指導の工夫につなげていく材料としては有効です。
 学力テストでは、参加した小中学生と学校からも、アンケートをとり、どんな要素が学力を高めることにつながるか、分析しています。その結果によると、「テレビのニュース番組やインターネットのニュースをよく見ている子、新聞を読んでいる子、地域や社会で起こっている問題や出来事に関心のある子、読書が好きな子、学校行事に関心が高い家庭の子」は正答率が高かったそうです。また「自分で課題を立てて、調べたことを発表するなどの学習活動に取り組んでいる子、自分の考えを書くとき、考えの理由が分かるように気をつけて書く子、算数数学は解き方が分からないときは、あきらめずにいろいろな方法を考える子、公式やきまりを習うとき、そのわけを理解するようにしている子」ほど、正答率が高かったそうです。日頃からいろいろなことに好奇心を持ち、考える練習をすることが、教科の学力を後押ししてくれるのだと、改めて強く感じました。(2014年9月6日)


遠足こぼれ話
田口知子

 遠足、当日。バスがなかなか到着せず、バスレク(バスの中でするレクレーション)の歌の練習をして待つ内にバスが到着。予定より15分遅れの出発になりましたが、後の予定は計画通りに進んでよかったです。
 行き先はTri-Wall社です。約一年前に、駐在員の北川さんに社会科見学の相談をさせていただきました。下見と打ち合わせを三回行って、当日を迎えました。休日であるにも関わらず、マクドナルド社長さんやジョンさん、ポールさんも、準備万端整えて、私達を温かく迎えてくださいました。最初に北川さんが段ボールについて説明をしてくださり、その後、製造ラインのビデオを見せてくださいました。
 説明は、段ボールの歴史についての話から始まりました。段ボールは19世紀にイギリスで発明されました。山高帽の内側に汗がつかないように、うねうねした紙をつけたのが始まりだったという話にはびっくり。それから、ガラスや電球を包むために、波型の紙を使うようになり、日本では明治時代になってから使われ始めました。なぜ段ボールというのか、名前の由来もおもしろかったです。英語ではcorrugated cardboadといいます。紙のうねが階段のようで、ボードをボールと聞き違えて段ボールになったのではないかと言われています。
 低学年児童もビデオをくいいるように見ていました。真ん前で見ていた小1の野島さんが「のりはとうもろこしからできている」という説明書きにいち早く気がついて、コメントすると、北川さんが「波型の紙をつけるのりは、害の無い物になっています」と説明を加えてくださいました。紙の薄茶色は、「紙はもともと木からできていて、木の天然の色です」と教えてくださいました。日本では7.8回リサイクルしていて、回収してリサイクルする過程もビデオで見せてくださいました。「リサイクルした紙は最後にどうなりますか」の質問には「最後はトイレットペーパーになります。何回も使えて、捨てても最後に土に返る点も環境に優しいです。」なるほどと感心しました。「工場では、一日に7万平方キロメートルの段ボールを作っていいます。これはサッカーコートの10倍分位です。」北川さんの分かりやすい説明にひきこまれ、みんな集中して聞いていました。
 説明を聞いた後、二つのグループに分かれて、工場見学をしました。そして昼食。天候が回復し、芝生の上で班ごとにお弁当を食べることができました。丘のようになった広々とした緑の芝生が敷地の後方にあり、遠くに美しい景色を眺めながら、楽しいピクニックができました。柳の木やもぐらが掘った土の山を見たり、クモなどの生き物を見つけたり、ハンカチ落としをしたりして、少し遊んだ後は、午後のアクティビティの時間です。段ボールのパーツを組み立てて恐竜を作ります。頭から尻尾まで2メートル程もある大型の恐竜です。完成した見本の他に各班用に4セット用意してくださっていました。一斉にスタートし、速くできた優勝班にお菓子の缶が贈呈。続いて全部の班に。お土産までいただき、細かいご配慮に感激しました。恐竜は分解して、補習校に持ち帰りました。雨天時の遊具に加えます。それから休んだ子ども達の分まで、構造が分かるように端を斜めに切った四角い段ボールのお土産もいただきました。
 バスに乗って一緒に引率してくださったAさんは、「楽しかったです。子ども達の目配りなど、先生達の苦労が分かる一日でした。」Bさんご夫妻は自家用車で同行してくださり、恐竜を積んで帰ってきてくださり、「アクティビティの間に、横の部屋に案内してくださって、段ボールでできたコーヒーテーブルや収納箱を見ました。実用的でありながら、素敵なデザインはまさにアートでした。」大人にとっても発見のある一日でした。(2014年9月13日)

 

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