補習校だより2014年10,11月

補習校だより2014年10,11月

 「話す・聞く」力を伸ばす指導   田口知子  先々週のことです。中休みが終わって二時間目の授業が始まって10分程すると、職員室のドアがノックされました。

「どうぞ」と言うと小3の児童が「失礼します。インタビューさせてもらってもいいですか」6人全員がドアの外に担任の先生と立っています。 入室場面から、敬語を使って話す練習は、担任との打ち合わせ通りです。

 隣のあき教室に入ってもらって、インタビューが始まりました。あらかじめ質問をノートに書いて練習していたらしく、緊張感を持って順番に質問していきます。 例えば、「補習校はいつできましたか」「その時生徒は何人でしたか」「先生は何人いましたか」「何年間校長先生をしていますか」「最初のころと何が変わりましたか」「今まで遠足はどこに行きましたか」などです。質問がひと区切りすると、進行役らしき児童が「他に聞きたいことはありませんか」と一人ずつ声をかけていきます。その間、児童の背後で時おり励ましの言葉をかけながら、担任の先生が児童の様子を温かい目で見守っています。最後に「みんなが協力しているのがいいですね。雰囲気の良いクラスですね」と私の感想を述べて、15分ほどのインタビューが終わりました。

 小3は、夏休みの課題で「私が見つけた記号」について調べてまとめたことを、朝会で発表もしました。フォーマルな場で発表する経験を重ねることで、話す力を鍛え、自信や意欲を育てたいと考えています。発表活動は、資料を読んでまとめて書くことが前提ですから、国語力を総合的に伸ばす活動になります。  敬語を実際に使えるように、ご家庭でも目上の人と話す機会を意識的に作っていただけるとよいと思います。補習校でも、話し方の練習を続けていきます。(2014年10月11日)

 読書の習慣づけ   田口知子  先日の放課後。図書室で本を探されているお母様と低学年児童をお見かけしました。「カードをつけたまま、本を借りてきていたので、本の借り方が分かっていないようだ」と、引率してくださったようです。一緒に本探しをする様子が楽しそうでした。お子様が低学年で、一人で長い本を読み通す力がなければ、読み聞かせをしてあげてもよいですし、親子が共同作業で少しずつ交替しながら読み進めていくのも、効果的です。本の世界に浸る楽しい経験が、読書好きの芽を育ててくれます。

 補習校では読書チャレンジと称して、低学年は500ページ、1000ページ読みに挑戦しています。高学年は5000ページ、一万ページです。朝会でも記録を紹介し達成賞を出しています。読後の感想を書けば、読書カードに色が塗れるので、このカードに色を塗りたいがために、がんばって感想を書いていると聞く児童もいます。スピードはゆっくりであっても、楽しく読書を進めて、読書記録の達成感も味わってもらえたらうれしいです。

 最近、読書記録を伸ばしているご家庭にお話をお聞きしてみましたら、現地校の宿題以外は、日本語に浸る生活を守っているとか。また下の兄弟と一緒に読書を楽しむようになった点も、背景にあるらしく「下の子が、上の子の好みや好きな本をよく知っていて、毎週下の子が自分の分と上の子の分を図書室から借りてきています。」下の子がまだ字を読めない分、かわりに上の子が読み聞かせをしてあげているのだそうです。「下の子に喜ばれるから、余計おもしろくなってきて、本を次々に読んであげているようです。」読書意欲の芽は、いろいろなきっかけによってのびてくるものなのですね。

 うれしいおまけがもう一つ。今までは話すことに苦手意識がありましたが、補習校で完璧に発音できなくても、完璧な文章でなくても、ちゃんと話をしている人がいるということに、気がついたらしく、自分もがんばろうとする姿が見られるようになったとか。読む力は、話す力も後押ししてくれます。「子どもの学習には、同じような仲間に出会い、刺激しあえる環境が必要なんですね。」とそのお母様がおっしゃっていました。これからも、補習校ならではの学習活動を工夫しながら、子ども達の学習意欲を引き出していきたいと思います。(2014年10月18日)


 書くことを続ける   田口知子
 海外子女文芸作品コンクールの結果が発表されました。世界各地の日本人学校205校が参加する大きなコンクールです。本校でも毎年、参加しています。級友が賞状と盾をもらっているのを見て、自分もほしいと発奮して、毎週、俳句と短歌を書くことを目標にする子どももいます。その努力が、入選という形に現れると、どんなにかうれしいことでしょう。ずっと書き続け、5年目に入選をはたした子どももいました。逆に、ある時ぽっと頭に浮かんだ俳句が入選して、本人もびっくりするようなこともありました。コンクールは、子ども達にとって、大きな励みになっています。

 普段からあのねちょうや短作文を書き続けていますが、俳句と短歌は、短いので、とっつきやすいようです。字数をそろえるために、言葉を考えますから、語彙が増えます。題材を見つけるために、身の回りを観察する目も育ちます。学校への行き帰りや散歩の道すがら、親子で空を見たり、道端の草を見たりしながら、おおいに会話を楽しんでほしいと思います。そして書くことを続けることで、言葉の力が豊かに育つように願っています。(2014年11月15日)

 これからの教育について   田口知子
 先ごろ、「アクティブラーニング」について耳にしました。教師がテーマを与え、生徒同士が討議などを通して主体的に学ぶ方法です。学力向上とこれからの時代に必要な力の習得をめざしています。受け身の授業に比べて、「学習事項が記憶に残り、授業が楽しくなる」との生徒の声もあり、効果が期待されています。

 教育は常に進化しています。そのことを、最近よく感じます。例えば電子黒板など教育機器のハード面、学習方法や指導方法のようなソフト面です。社会のグローバル化に対応すべく、コミュニケーション力が重視されるようになり、学力試験でも、発表活動について考える問題が含まれるようになりました。先日の新小1希望者対象の学校説明会で、古川運営委員長がおっしゃっていました。「補習校の入学式や卒業式で、児童生徒が行うスピーチ、学習発表会で行う高学年のプレゼンテーションは、レベルが高くて感心する。現地校でも自ら発信する機会が多いからだろう。補習校の子ども達は海外生活で、いろいろな良さを身につけて成長している」

 自分の考えを主体的に深め、発信していく学習活動は、思考力や言語の表現力を高める上で、効果的です。本校で小4以上が毎年行っているポスターセッションの目的も、そこにあります。多様な学習活動の場を通して、可能性と自信を伸ばすことも、意図しています。  発表活動は、資料を読み、発表や意見を文章に書くことを土台にした発展学習です。基礎力と応用力を伸ばすには、教科書を使って、「話す・聞く」「読む」「書く」の学習をバランスよく積み重ねていくことが大切です。(2014年11月29日)

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