補習校だより2015年4、5月

補習校だより 20154,5

補習校教育がめざしていること

                                        田口知子

 先週は、暖かな春の日射しがあふれる中、和やかに入学式・進級式が行われました。会場のホールにむかいながら、小学一年生に、「今日は、早起きしましたか」と質問すると、ものおじすることなく、明るい返事が返ってきました。みんな、補習校の初日をとても楽しみにしていたようで、笑顔に一年生になった誇りと喜びが感じられました。中学一年生の「誓いの言葉」では、それぞれの目標がしっかりと述べられ、一段と頼もしく見えました。これからの一年間で、子ども達がさらにどんな成長を見せてくれるか、とても楽しみです。

 ご来賓としてお出でくださったウェールズ日本人会理事長様が、御祝辞の中で、おもしろい変わり絵を見せてくださいました。最初、うさぎに見えた横長の絵が、紙を縦長にするとあひるに見えるのです。うさぎの耳が、ちょうどあひるのくちばしにあたります。この変わり絵を通して、答えは一つではなく、見方によって物事はいろいろに見えるというメッセージが、視覚的にストレートに伝わってきました。そして、「耳でよく聞くことが、よく話すことになるから、よく聞いて、よく話して、考えを深めながら、しっかり勉強していきましょう」と、励ましてくださいました。

 補習校は、家庭での日本語学習を土台にして、みんなで学び合いの学習をする所です。教科書の文章を読んで、内容を理解し、自分なりの感想や意見を持つことから始まって、他の人の感想や意見を聞いて、今まで気づかなかったことについて考え合いながら、読みを深めていきます。教科書は、その学年の読みのレベルに合った教材文で構成されています。新しい漢字や語句が入っているので、時間をかけて読むことが必要です。簡単な学習をしているだけでは、学力は伸びません。自分の力よりも、少し上をめざして、わかろうと努力する過程が、学力向上につながります。「勉強」とは、文字通り、「強いて勉める」ことをいいます。楽しく学んでいけるのが理想ですが、学年が上がって、学習内容が難しくなると、勉強がつらくなることもあるでしょう。

 補習校には、様々なバックグラウンドを持つ子ども達が通学しています。進学先は、日本かイギリスか、将来の進路はそれぞれ異なり、得意とする分野も多様です。読み書き力、思考力、発想力、創造力、プレゼン能力、計算力など、それぞれが得意とする分野でお互いに感化し合って、共に学ぶ意義を見出していけるようにと願っています。

 元気に楽しく通学できることが、何よりも大切ですが、ただ楽しいだけでなく、お互いに学び合う姿勢を持ち、真剣に学習を続けていけるように、努めましょう。補習校で学ぶ子ども達は、将来、日本とイギリスのかけ橋になれる人材として、期待されています。保護者と講師が力を合わせて、それぞれにできることを子ども達と一緒に、しっかりと行い、意義深い土曜日にしていきましょう。(2015426)

 

漫画を利用した指導

                                        田口知子

 今は漫画で学ぶ学習本が、いろいろ出版されています。例えば「歴史漫画」や「古典文学」「百人一首」等です。

 漫画を使った教材が国語の教科書に登場しているほか、421日実施の全国学力調査(6と中3対象)にも、漫画を使った問題がありました。小6の国語では、「一休さんとんち話」から「びょうぶととらの話」の紙芝居を作るという設定で、4枚の絵を使った問題が二問出題されました。一つ目は、絵に合う説明文を選ぶ選択問題。二つ目は、一休さんにびょうぶからとらを追い出すように言われて「もうよい、わしの負けじゃ」と言った殿様のせりふを、「あなたならどのように音読しますか」という記述式問題です。読み方のヒントになる文を読んで、40字以上80字以内にまとめて書きます。

 算数では、「今月は300円のパンを10%引きで売る、今日は今月の値段からさらに30%引きで売ることにし、値段が189円になった。10%30円、30%90円だから値段は180円ではないのかな」と考える場面が4コマ漫画のようなイラストで示され、180円とした計算式の間違いを見つける問題です。文章の読解力を必要とする、考えさせられる問題です。

 中3の国語では、「さじ加減」という言葉について調べた生徒が、発表のリハーサルをしている場面が3コマ漫画のようなイラストで示されています。吹き出しに、考えたことや発表の言葉が書かれています。また古典の問題は、「竹取物語」から出題されました。悲しそうに月を見るかぐや姫におじいさんが言葉をかける場面が、漫画で描かれています。吹き出しのおじいさんの言葉は現代語になっています。この漫画を見て、古典の題名を答え、おじいさんの言葉にあう古典の文章を選びます。

 漫画はとっつきやすいのが利点です。文章問題や古典は、児童生徒が苦手とする分野ですから、漫画を使うことで、学習への抵抗感を軽くすることができそうです。

 ただ、算数の文章問題は、4コマ漫画で示されていても、それが答えのヒントになるわけではなく、問題の内容を読み取る力がないと、答えにはたどりつけません。

 漫画は、学習への関心を引き出し、思考を広げてくれます。また、漫画を通して、新しい語句や漢字を覚え、知識を増やすことができます。漫画から読書の世界に入っていく生徒もいることでしょう。しかし、いつも漫画だけに頼っていると、文章を読む訓練が不足してしまいます。指導のねらいを明確にした上で、効果的に漫画を活用していくことが大切でしょう。

 本校で続けている「読書チャレンジ(一万ページマラソン)」には、歴史漫画のような学習漫画もページに入れてよいことにしています。ちょうど先日の職員会でも、この点を確認し合ったところです。これから漫画の上手な活用を工夫していけるとよいと思います。

(2015516)

 

大切な遊びの時間

                                        田口知子

 先週の放課後。コモンルームの奥の所で、低学年の子ども達の輪ができていました。床に座りこんで頭をつきあわせ、何やら楽しげにカードを見ています。去年は、ダンスクラブの子ども達が、ここで毎週のようにダンスの練習をしていました。上級生が卒業したり、帰国・転出してしまったりしたので、今年は休部中です。運動場では、常連の子ども達がサッカーをしています。ボールを追って、おもいきり走る子ども達を、保護者の皆さんが、運動場の端にある木の台に腰かけて、のんびりと眺めています。たまに、子ども達と一緒に走るお父様の姿をお見かけすることもあります。放課後は、大人も子どももゆったりできるひとときです。しかも土曜日は、日本人の友達と一緒に遊べる週に一度の楽しい時間。今は気候もよく、広々とした場所で、思う存分遊ばせてもらって、子ども達にとっては至福の時間といえます。

 最近は、スマホやタブレットを使ったゲーム遊びが盛んです。指先の動きに偏ったゲームを長く続けていると、手首を使う機能が発達しません。結果的に、固く閉まったびんのふたを手首をぎゅっとひねって開ける動作がうまくできない子ども達が増えているそうです。また子どもの頃、運動不足だと、老人になった時に足腰が弱るロコモティブシンドロームになる可能性が高くなるという点も、心配されています。

 子ども達の外遊びは、体力作りとして重要です。また、一つのことに熱中して、心から楽しいと思える時間は、健やかな心を育ててくれます。気持ちがリラックスできると、精神的な安定感を得ることができます。

 今はIT技術の発達によって、生活が豊かで便利になりました。しかし、物がなくても、子ども達はいろいろ工夫して楽しい遊びを考え出すものです。私が子どもの頃は、缶けりや忍者ごっこに夢中になり、日が暮れるまでかけ回って遊んでいました。当時、テレビで「忍者赤影」シリーズが大人気で、赤影だの青影だのそれぞれに配役を決めて、身分証まで自作して持ち歩き、わくわくして遊んでいました。遅く帰宅して相当怒られた思い出もあります。無制限にだらだらと遊ぶのは、よくありませんが、一週間の中で、この時間は自由に過ごせるという遊びの時間を作ってあげることは、心身の発達にとって非常に大切なことだと思います。まさに「よく学び、よく遊べ」です。(2015530)

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