補習校だより 2016年4,5月

補習校だより 2016年4,5月

学習効果を高めるために
田口知子

 子どもたちから、土曜日の補習校が楽しみだという声を聞くと同時に、宿題をこなしていくのが、時につらくて、大変だという声も聞きます。補習校通学には、楽しさと大変さの両面があります。保護者の皆様にとりましては、どうでしょうか。
補習校の運営は、保護者の皆様のご協力無しでは、なりたちません。例えば、学校当番や行事担当制、学級代表の会や行事の前後のミーティングへの参加などです。こうした活動予定が続くと、負担に感じられることがあるかもわかりません。補習校への通学を決めた時から、忙しい時間が増えますが、そんな中でも、補習校が、保護者にとっても、子どもにとっても、楽しさと喜びと知的刺激に満ちた場所であるようにと願っています。
 お子様の学習効果を高めるために、保護者としてできることについて、考えてみたいと思います。
まず、基本的な生活習慣についてです。例えば、朝、ゆとりを持って登校することや、学習用具が全部そろっているといったことなどです。
次に、補習校の教育活動に興味を持ってくださるようにお願いします。例えば、朝会にはお子様と一緒に、ご参加ください。朝会で伝達した情報や朝会で紹介された話を、親子で共有して、会話の話題にすることもできます。掲示・展示物も、お子様の学年に関係なく、ご覧になってみてください。時にはお子様と一緒に、ご覧になられるのも効果的です。他のお友だちがどんな学習に取り組んでいるか、参考にできます。また、図書室にはどんな本があるのか、ぜひのぞいてみていただきたいと思います。お子様の読書習慣は、保護者が本に興味を持っていないと、なかなか培われません。
最後に、保護者の柔軟な支援についてです。先生から宿題が出されて、例えば所定の用紙をもらいそびれた場合。用紙がないからできない、と決めつけてしまうと、課題を先延ばししてしまうことになります。他の用紙を代用できるのであれば、柔軟に取り組んでいただいて大丈夫です。現地校とのかねあいで、どうしてもすべての宿題ができない場合は、どの宿題を優先するか、残りの宿題は、いつ、どんなふうに取り組むか、必要ならば先生に相談しながら、進めていかれるとよいでしょう。
補習校の学習に対して、保護者として受け身ではなく、好奇心を持ち、工夫しながらお子様につきあってあげていただきたいと思います。親子で学ぶ楽しさは、きっとそんなところから生まれてくるのではないかと思います。これから、土曜日が楽しく有意義な時間になりますように。
(2016年4月30日)

 

子どもたちのために学校ができること
田口知子

展示コーナーに「海外子女教育」という月刊誌を置いて、貸し出しをしています。これは、日本の「海外子女教育振興財団」が発行している機関誌で、毎月、日本から届くのが楽しみです。
 四月号の特集記事に、「小学校における帰国子女教育を語り合う」と「学習するための日本語を育てる(補習授業校での経験から)」の二つが取り上げられていました。最初の特集記事は、日本国内の小学校で帰国子女教育を担ってきたOBを含めた四人の先生方の座談会の記録です。 
この記事の中で、一つの事例に心がひかれました。ある時、放課後に掃除があるのに、帰ってしまった子がいました。その子は、帰国生でした。教室の窓からその子が帰っていくのが見えたとき、そのクラスの先生と子どもたちは、どんな行動をとるでしょうか。例えば、「あの子だけずるい」と子どもたちから不満が出て、先生がその子どもを連れ戻して、掃除をさせるでしょうか。私も、そうするかもわかりません。
ところが、そのクラスでは「掃除があるんだよー、でも帰っていいよ。バイバーイ」と先生。子どもたちも「仕方ないなあ、帰っていいよー」と言ったそうです。その先生は子どもたちに次のような説明をされたそうです。「あの子は海外では掃除をしたことがなかったので、わざとさぼったのではなくて、偶然、忘れていただけなんだよ。今は日本に適応している段階なんだから、認めてあげよう。六年生の君たちは、六段階積み上げてきているけれど、あの子はまだ一段目なんだよ」
 これこそ、忘れてはいけない教育の原点だと思いました。それは、「待つ」ということです。帰ってしまった子どもにとっては、日本へ帰国するまで掃除をしたことがなかったわけです。その子どもが、掃除をしなければいけないというふうに変わって、それを身につけていくまで、まわりも、待ってあげようという指導です。温かいまなざしのある素敵なクラスだと思いました。
それから、もう一つ。先生が、その子どもをすぐに連れ戻して掃除をさせなかったのは、どうしてでしょう。座談会では、「これが残って掃除をしている子どもたちへの、またとない教育のチャンスになるととらえたからだろう」と話が続きました。「連れ戻して掃除をさせると、その子に掃除をさせることを教えただけになってしまう。でもそうではなくて、とんでもないことをやってくれたときというのは、一般の子にとっては、柔軟性を学ぶまたとない機会になる。その子を帰すことによって、一般の子は大きな学びの機会を得ている。なんでだろうと考えるきっかけを与えることになる。」
手回しのよい先生であれば、その子どもの行動を先読みして、掃除があることや掃除の分担について、しっかりと子どもたちに説明しておくでしょう。問題が起きないように、ときには教師側が先手を打っておくことも、もちろん必要なことです。ですが、もし想定外のことが起きてしまったときこそ、チャンスととらえる指導の柔軟さと機転も、同じように大切なのだと、この事例を読んで改めて考えさせられました。
(2016年5月7日)

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