校長先生の日々14: 子どもに大人の考えを語る

校長先生の日々(14)子どもに大人の考えを語る

 今年は小5の国語を担当しています。5年生も後半にさしかかると、児童の見る目や思考の幅が広がって来ているのを感じます。一時間目の学習がひと段落した時に、A君が言いました。「今しっかり勉強しておかなければ、ちゃんとした学校へ行けないって、お母さんが言っていたけれど、本当ですか。」

 勉強しなければいけないことは、みんな頭では分かっているはずです。しかし何のために勉強するのか、A君の真剣なまなざしは、納得できる理由を求めているように見えました。
そこで、次のような話をしました。「小学校と中学校の9年間は、義務教育で、社会人として必要な知識と教養を身につけることが目的です。新聞を読んだり、いろいろなことを考えたり判断したりするのに、そうした勉強が必要です。その後は、自分がどんな仕事をしたいかで、進む道が変わって来ますが、人が仕事をするというのは、誰かの役にたつためですよね。それは家族のためだったり、社会のためだったり、人には与えられた仕事があるのだと思います。」

 ここまで話した時、今度は「先生は、いつ、先生になろうと思ったのですか。」新たな質問です。そこで、父親が教師だったことや中学の時に教師の仕事に興味を持った、ということを話しました。「仕事は、生活費をかせぐために必要ですが、必ず希望通りの仕事ができるとは限りません。自分の好きな仕事ができて、やりがいを感じられる人は、幸せだと思います。皆さんにも、他の人のためにできる仕事があります。それを見つけるために、今皆さんにはおおいに勉強してほしいと思います。大人には家や会社で、それぞれの仕事があります。皆さんの仕事は、勉強することです。だから今はいろいろなことをいっぱい勉強して下さい。」最後は思わず熱く語っていました。

 事前に考える時間があれば、論理的にもっと整った回答ができたかもしれません。しかし、子ども達が耳を傾けて聞いている手ごたえが感じられたのが、とてもうれしかったです。冷静に組み立てた話でなくとも、緊張感を持って大人が自分の言葉で熱く語れば、子ども達の心に響くものがあると思いたいです。何よりも、小2の時に算数を受け持った子ども達と、こんな対話ができるようになったのかと思うと、子ども達の成長に感慨深いものがありました。

(2011年11月)

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