校長先生の日々19: 20年ぶりの再会

校長先生の日々(19) 20年ぶりの再会
 補習校に長くいると、日本に帰国した元生徒や保護者の皆さんが、補習校を訪ねてくださって、思いがけない再会に恵まれることがあります。先日は、約20年前運営委員長をされていたKさんが、カーディフで記念の集まりがあるついでに、補習校に立ち寄ってくださいました。

1993年94年はちょうど、退職校長を日本から企業招へいしていた時代から、現地採用校長体制への切り替え期でした。思い出話に、当時の出来事が記憶の底から浮上し、あの時の身が引き締まる感覚や初心が胸によみ返りました。
 Kさんは、日本で子ども会育成会の活動に参加されているそうで、ホットな情報についてお聞きすることができました。私が子どもの頃は、町内に児童館があって、盆踊りやクリスマス会など子ども会の活動に参加した楽しい思い出がありますが、最近の日本では、こうした活動があまり見られなくなっているようです。そこで、Kさん達は、元気のない子ども達を元気にしようと、こうした子ども会活動を活発化しようとがんばっているそうです。活動の様子をお話しくださるKさんも生き生きとして見えました。子どもを元気づけるにはまず大人からです。
 子ども会育成会では、子どもに関係する活動の計画は、子どもに相談し、子どものリーダーに決定させています。いただいた会報の中に、「子ども達が会を進めるとなかなかうまくいかないことがあります。見ているとじれったくなるので、はじめから大人が司会進行をやってしまうなんていうことがあるかもしれません。しかし大人が前に出過ぎると、子どもたちが育たないばかりか、やらされている子ども会という意識をもち、子ども会嫌いになってしまうこともあります。子どもが間違っても当たり前。会がスムーズに流れることが大切なのではありません。子ども達がいろいろ経験することそのものに意味があるのです。」そして、「自分たちの力で進行できたことに満足感を味わう子ども、失敗から学び、もう一回やってみようと思う子どもを育てることが大事だ」と書かれてありました。 
 なんだか本校がめざす子どもの姿に重なってきます。Kさんは、補習校の運動会の玉入れの玉の一つ一つが手作りされていたように、保護者や運営委員が学校行事を支えていることを、とても貴重だとおっしゃっていました。こうしたことは、日本ではあまり経験できません。Kさんが地域で活動される原点は、もとをたどると補習校の運営につながっているのかもしれませんねと、二人でうなずきあいました。
 「地域の活力と子ども会」というタイトルの講演の概要に、「日本の子どもの自殺一日に1.4人、孤独を感じている子は3人に1人、疲れを感じている高校生は5人に4人」というデータが示されていて、子どもに何をしたいかと聞くと寝たい、休みたいと答え、自分は自分でいいと感じ、自分を尊敬できる自尊感覚を持てる子どもは、中国の16%に対して日本は8.6%だとありました。そして「自分にはこれがある、得意なものがある、というのが元気のもとになります。人は人にしか育てられません。教育力はその気にさせること、したくなる環境を作ることです。」としめくくられていました。学校、社会、家庭と教育環境が異なっても、子ども達を伸ばす教育の原点は、同じなのです。Kさんの話に、私も元気をたくさんもらいました。(2013年6月)

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